本研究の目的は唾液分泌における唾液腺の副交感神経性血流増加の役割を明らかにすることである。ラットを用いた実験から、舌神経刺激による唾液腺血流増加は耳下腺と比較して顎下腺及び舌下腺で大きく、顎下腺・舌下腺からは著しい唾液分泌が認められた。NO合成酵素阻害薬投与により舌神経刺激による唾液腺血流増加は約60~70%に抑制され、顎下腺・舌下腺の混合唾液は約33%、耳下腺唾液は約73%に抑制された。したがって、反射性の唾液分泌では、分泌活動に応じた血流増加が誘発され、唾液分泌と血流増加は連動して調節されることが示唆された。また唾液腺における血流増加は唾液分泌を促す上で極めて重要であることが考えられた。
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