研究実績の概要 |
<卵巣摘出家兎における下顎頭吸収モデルの確立>→平成28年度 卵巣摘出した家兎を塩酸ケタミン60mg/kg筋注とペントバルビタールナトリウム0.35mg/kg緩徐静注による全身麻酔を施す。顎下部正中切開で両側の下顎骨下縁を露出させ、皮質骨骨切りはオトガイ孔と第一臼歯間で行う。骨切り部位から対称的にキルシュナーワイヤー( 直径2.0mm)を2本ずつ計4本経皮的に貫通させ、結紮線と即時重合レジンによって自作製延長装置と固定する。前方へ延長させたものを下顎頭部の圧縮群、後方へ延長させたものを伸展群の2群に分ける。各群、待機期間を設けずに0.25mm/回を2回/日のペースで7日間、計3.5mmの延長を行う。術後は感染予防にセファゾリンナトリウム50mg/kg/日を筋注投与する。各群延長終了直後、1週後、2週後、3週後に2羽(4側)ずつ計16羽(32側)の試料採取し、下顎頭部の骨吸収を画像検査・組織学的検査により検証することを予定した。 平成28年度は白兎(雌)を用いて、卵巣を摘出した白兎と卵巣を摘出していない白兎の下顎骨を骨延長させることで顎関節部に機械的なストレスを与えた。この手法は先の実験において実証されている(Nogami S, et al. Oral Dis,2017)。機械的なストレスをさらに2群に分け、圧縮群と伸展群とに分け延長終了直後、1週後、2週後、3週後にそれぞれの下顎頭の標本を採取しマイクロCTで形態学的評価を行った。その結果、卵巣を摘出し白兎の圧縮群では卵巣を摘出しない白兎の伸展群と比較して有意に骨吸収を認めた。また伸展群においても卵巣を摘出した白兎は卵巣を摘出していない白兎と比較して有意に骨吸収を認めた。さらに卵巣を摘出した白兎の圧縮群は卵巣を摘出した白兎の伸展群と比較すると有意に下顎頭の吸収を認めた。
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