研究課題
口腔扁平上皮癌の治療に使われているドキソルビシン(DOX) は、ヒト口腔由来正常ケラチノサイト(HOK)に対して口腔扁平上皮癌細胞(HSC-2)と同程度に傷害を与えることが報告されている。本研究は、DOX誘発性の口腔正常ケラチノサイト細胞傷害を軽減する方法を探索することを目的として上記の3種のポリフェノール添加により、ヒト口腔扁平上皮癌細胞に対する傷害性は促進されるが、正常ケラチノサイトに対する細胞傷害性の抑制、抗酸化作用及び細胞保護に関する可能性について検討を目的としている。供試した3種のポリフェノールのうち、RSVとDOXの併用でHOKとHSC-2細胞に対して、両方とも細胞毒性はRSV濃度依存的に増強されたが、 EGCGとTAでHOKとHSC-2細胞に対する影響を違ったことが明らかにした。HSC-2細胞に対して、EGCGとTA濃度依存的に傷害性は促進された一方、 HOKに対して、EGCGの併用では、低濃度DOXの場合は、細胞毒性はEGCG濃度依存的に増強されたが、高濃度DOXの場合は、EGCGにより細胞毒性は軽減された。TAの併用では、DOX濃度に関わらず、ほぼ一定の細胞生存率を示し、かつTA濃度依存的に細胞生存率は高かったことを見出した。メカニズムの解明に関して、 HOK細胞死の解析では、RSVの併用はアポトーシスを増加、EGCGおよびTAの併用は、ネクローシスを減少させるとともにアポトーシスを増加させるという結果が得られた。細胞内活性酸素の解析による、 EGCGやTAでのHOKの細胞障害軽減とHSC-2の細胞障害増強には細胞内ROSの関与だけではなく、HOKとHSC-2細胞に違う細胞周期制御作用および細胞膜の影響により、 DOXの細胞内への取込阻害の効果が違うか引き続き検討が必要である。
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J Oral Pathol Med.
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10.1111/jop.12685
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