研究課題/領域番号 |
16K20443
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
重松 宏昭 鶴見大学, 歯学部, 助教 (80737198)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 金属アレルギー / 交差反応 / 歯科用金属 / モデルマウス |
研究実績の概要 |
金属アレルギーの診断はパッチテストが主とされているが,単一の金属溶液のみならず複数の金属溶液に陽性反応を示すいわゆる交差反応が起こることが多く,必ずしも臨床症状を反映していないことが多い.この交差反応をマウスで行っている実験の報告はあるがいずれも腫脹の評価のみであり,アレルギーの主体であるT細胞の詳細な解析を行っている報告はない.そこで本研究では,金属溶液の膝窩リンパ節への感作,および感作で使用した金属溶液とは異なる種類の金属溶液を足底部へ注射することで誘導を行い金属アレルギー交差反応マウスモデルの製作し,異種金属間での交差反応に関与するT細胞のTCRを詳細に解析することで,複数の金属から成る歯科用金属材料のアレルギー発症に関与するT細胞の抗原特異的な免疫応答の解明することを目的とした. 本年度は,感作パラジウム(以下Pd)-誘導ニッケル(以下Ni)群,感作Pd-誘導クロム(以下Cr)群,感作Ni-誘導Pd群,感作Ni-誘導Cr群,感作Cr-誘導Ni群,感作Cr-誘導Pd群の金属アレルギーマウスモデルを作製し,経時的な足底部腫脹の変化,病理組織学的ならびに免疫組織化学的検討を行った.足底部腫脹は,誘導後1日後に最大となり,7日後にむかい経時的に減少を認めた.最も腫脹を認めたのは,感作Ni-誘導Cr群であり,続いて感作Cr-誘導Pd群であった.HE染色において,感作Cr-誘導Pd群・感作Ni-誘導Cr群・感作Ni-誘導Pd群・感作Pd-誘導Cr群に表皮の海面状浮腫や肥厚を認めた.抗CD3抗体を用いた免疫組織化学的解析では,感作Cr-誘導Pd群・感作Ni-誘導Pd群・感作Pd-誘導Cr群において,表皮および皮下組織へのCD3陽性T細胞浸潤を認めた.一方,感作Pd-誘導Ni群・感作Ni-誘導Cr群・感作Cr-誘導Ni群では,CD3陽性T細胞浸潤は殆ど認められなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に予定していた金属アレルギー交差反応モデルマウスの作製・足底部腫脹測定・病理組織学的および免疫組織化学的解析まで終了しているため.
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今後の研究の推進方策 |
免疫組織化学的解析において,T細胞浸潤を著明に認めた感作Cr-誘導Pd群・感作Ni-誘導Pd群・感作Pd-誘導Cr群の抗CD4および抗CD8抗原の免疫組織化学的解析の追加を行う予定である.平成28年度に作製した金属アレルギー交差反応モデルマウスは,複数回誘導しているため,誘導回数を1回にした場合の足底部腫脹測定・病理組織学的および免疫組織化学的解析を行う予定である.適切な感作・誘導回数が決定次第,浸潤しているT細胞に対して,次世代シークエンサーを用いたT細胞受容体のレパトア解析やReal time PCR法による局所炎症巣での炎症性サイトカインおよびT細胞関連因子のmRNA発現量の定量解析を行う計画である.
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次年度使用額が生じた理由 |
金属アレルギー交差反応モデルマウスの条件検討(適切な感作および誘導回数)を行ったため次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
金属アレルギー交差反応モデルマウスの適切な感作および誘導回数が決定次第,病理学的および免疫組織学的検索・次世代シークエンサーを用いたT細胞受容体のレパトア解析・Real time PCR法による炎症性サイトカインおよびT細胞関連因子のmRNA発現量の定量を行う計画である.
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