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2017 年度 実施状況報告書

口腔癌の浸潤性増殖における細胞膜活性脂質の役割

研究課題

研究課題/領域番号 16K20444
研究機関金沢医科大学

研究代表者

加藤 晃一郎  金沢医科大学, 医学部, 助教 (30719373)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード口腔扁平上皮癌
研究実績の概要

活性型スフィンゴ脂質として注目されているsphingosin-1-phosphate(S1P)は、生理活性物質として腫瘍細胞の細胞増殖、アポトーシス抑制が認められており、さらに浸潤や細胞移動の機能亢進に関与するとされている。S1Pの産生や調節に深く関わるsphingosin kinase-1(SphK1)の口腔扁平上皮癌における正確な役割は未だ明らかではなく、本研究で口腔扁平上皮癌におけるSphK1発現と腫瘍細胞の増殖、浸潤および生命予後との関連を検討し以下の成績を得た。
1. SphK1高発現群と低発現群における比較において、臨床的に年齢、性別、原発部位およびステージ分類に有意差は認めなかったが、リンパ節転移の有無に有意差が認められた。
2. 浸潤様式と強い相関を認め、SphK1発現と浸潤様式を系統的に検討すると、grade 2などの低gradeでは腫瘍浸潤先進部の腫瘍細胞に弱く発現するのに対し、grade 4Cなどの高gradeでは索状に浸潤する腫瘍細胞に一致して強い発現が認められた。
3. 生命予後はSphK1の高発現群と低発現群を5年生存率(Kaplan-Meier解析)で検討した結果、SphK1の高発現群は45.1%で低発現群の73.1%と比較して有意に予後が不良だった。
以上の結果から、臨床的に生命予後へ影響を及ぼす転移との関係がみられた。SphK1発現は口腔扁平上皮癌の腫瘍進展を評価するうえで重要な客観的因子となり、生命予後を推測し得る可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究において、SphK1の高発現が特に強い浸潤能を示す浸潤様式の口腔扁平上皮癌と一致してみられ、SphK1によって発現誘導されたS1Pによる腫瘍浸潤との関連性を検証し、生物的意義を検討した。

今後の研究の推進方策

本研究で得られた結果から、口腔扁平上皮癌におけるSphK1高発現が適切な治療選択の指標となり、またSphK1が治療抵抗性に対する今後の標的因子になり得る可能性を検討するため、浸潤先進部でのSphK1とS1Pの各レセプターそれぞれの役割をin vitroで検証する。

次年度使用額が生じた理由

現有試薬の一部を共用することができたため、35,148円の次年度使用額が発生した。
結果の再現性を確認するため無作為抽出反復実験において、次年度の交付額に加え必要な物品購入に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Expression of Sphingosine Kinase-1 is Associated with Invasiveness and Poor Prognosis of Oral Squamous Cell Carcinoma2018

    • 著者名/発表者名
      Koichiro Kato, Miyako Shimasaki, Takao Kato, Natsuki Segami, Yoshimichi Ueda.
    • 雑誌名

      ANTICANCER RESEARCH

      巻: 38 ページ: 1361-1368

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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