研究課題/領域番号 |
16K20446
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松本 真理子 北海道大学, 大学病院, 助教 (30733969)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | CPN / ナノテクノロジー / 接着強さ / 象牙質 / 4-META/MMA-TBBレジン |
研究実績の概要 |
プラチナナノコロイド(Colloidal Platinum Nanoparticles: 以下CPN)は、低アレルギーかつ活性酸素種の強い除去能と抗酸化作用があるとされ、近年では健康食品や化粧品、また脳梗塞や口腔粘膜疾患の治療応用に使用されてきている。また、CPNの特長として、触媒作用が挙げられ、これによりレジンの重合が促進されることが考えられる。しかしながら、これまでに歯科接着材料に対してのCPN活用に関する試みは少なく、これからの研究が期待される分野である。 これまでに、4-META/MMA-TBBレジンの接着操作にCPNを取り入れることにより接着強さが向上するという報告があるが、最適な濃度、処理時間、象牙質接着界面でのCPNの残留や分布、また接着強さ向上のメカニズム等は明らかとなっていない。そこで、本研究は、4-META/MMA-TBBレジンの象牙質接着におけるCPNの至適条件の探索、接着強さへの影響及び長期耐久性についてを検討することを目的として遂行している。 4-META/MMA-TBBレジンには筆積み法と混和法とがあり、またモノマーも従来型とクイックがあり、それぞれにおいて象牙質接着強さを微小引張接着試験にて接着強さを評価しているが、従来のモノマーを使用した混和法での応用がもっとも接着強さが安定することがわかってきている。さらに100%CPN溶液を用いた場合にはやや接着強さの上昇が認められた。これからさらにサンプル数を増やすとともに、これらの試料を用いて界面観察を行い、接着界面における分布と界面への影響を詳細にみていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
4-META/MMA-TBBレジンには筆積み法と混和法とがあり、またモノマーも従来型とクイックがあり、接着手法と材料により接着強さとその値の安定性に相違があることがわかった。それぞれにおいて象牙質接着強さを微小引張接着試験にて接着強さを評価してきたが、従来のモノマーを使用した混和法での応用がもっとも接着強さが安定することがわかってきた。 さらに100%CPN溶液を用いた場合には接着強さの上昇がわずかに認められた。 現在サンプル数が少ないことから、今後増やしていくとともに、さらに条件を変えた群間での比較検討を行なっていく必要がある。 また、これらの試料を用いてTEM観察や3D Tomography観察を行う準備を行い、接着界面における分布と界面への影響を詳細にみていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、象牙質接着試験を条件を変化させた群間で比較検討を行なっていくこと、さらに長期保存や負荷試験を行った場合の接着強さへの影響を検討していく。 接着界面において界面の質やCPNの分布を詳細に観察するために、現在のところTEM及び集束イオンビームを用いた試料加工と超高圧電子顕微鏡を用いて3次元構造観察を大阪大学超高圧電子顕微鏡センターにおいて遂行することを予定しているが、見え方により観察手法を再考する必要が出てくる可能性がある。 また、長期耐久性試験においてサーマルサイクルを行う予定にしていたが、pHサイクルや水圧負荷による負荷実験がより耐久性評価に優れている可能性があり、試験方法の再検討も必要であると考える。
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