研究課題/領域番号 |
16K20446
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松本 真理子 北海道大学, 大学病院, 助教 (30733969)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 象牙質接着 / ナノテクノロジー / 接着強さ / 長期耐久性 |
研究実績の概要 |
本研究では、象牙質接着の向上と長期耐久性の獲得を目的に、白金ナノコロイド(COLLOIDAL PLATINUM NANOPARTICLES: 以下CPN)を4META/MMA-TBBと併用し、その効果を検証している。使用しているCPNは、第1世代~第3世代まであり、それぞれCPNの保護膜に含まれる成分が異なり、第1世代は1.69% polyacrylic acid、第2世代は0.29% sodium citrate、第3世代は0.29% sodium citrate + 0.29% γ-cyclodextrin となっている。 現在、ヒト大臼歯を使用し、#600耐水研磨紙研磨の象牙質平滑面に対して10-3溶液でエッチングし、CPNを30秒処理、20秒水洗、その後4META/MMA-TBBにてアクリリックレジンを接着させ、その接着強さをMicro-tensile Bond Strength (以下μTBS) Test にて評価を行っている。(CPN1~3_WE)また対照群として、10-3溶液のエッチングを行わないもの(CPN1~3_WOE)、およびCPN非塗布群(Cont_WE/ Cont_WOE)での評価も行った。 その結果、それぞれの群の平均値は、WE群では、Cont 32.00±12.75MPa、CPN1 39.69±10.55MPa、CPN2 45.84±10.98MPa、CPN3 39.93±10.29MPa、WOE群では、Cont 9.51±7.72MPa、CPN1 13.91±7.24MPa、CPN2 13.14±6.67MPa、CPN3 16.61±6.97MPaとなった。WE群はWO群に比べて有意に高く、WE群ではCPN2が、WOE群ではCPN3が有意に高い接着強さを示す結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在のところ、研究において最も時間を要すると考えていた接着試験において必要数のデータをすべて獲得することができており、大幅な遅れはないものの、それ以外の評価方法に関して試料作製に時間を有しているため、十分なデータを獲得できているとは言えない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の予定どおり、走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡による形態学的な評価を加えていくとともに、長期耐久性評価としてサーマルサイクル負荷後の試料評価に取り組んでいく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
これから行う予定の評価について、電子顕微鏡観察関連器具、および消耗品の使用、また知識獲得のための学会参加や、今後獲得したデータの発表および論文作成に充てる予定である。
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