これまでに様々な分野で活用されている白金ナノコロイド(Colloidal Platinum Nanoparticles: 以下CPN)は、触媒作用や活性酸素除去能について期待されており、特にその触媒作用により象牙質の接着に対しても効果が期待出来ると考えられる。これまでの研究にて、ある一定濃度のCPNを一定時間象牙質に塗布すると、4META/MMA-TBBレジンセメントの接着強さにおいて増大する可能性が示唆されている。最近、CPNの中でもコロイド膜の違いにより3種類のCPNが開発されている。しかしながら、それぞれのCPNについて、象牙質への接着に対する効果については不明であるため検証が必要であると考える。また、象牙質接着において長期耐久性がいまだ課題とされるため、その点にも着目することとした。そこで本研究では、3 種類の白金ナノコロイドの塗布を接着前処理として使用することによる象牙質ーレジン接着能への効果について、引張接着試験および形態学的観察にて検討することを目的として行った。 最終年度には温度負荷による劣化を促進させるサーマルサイクリング試験を全てのサンプルにおいて終了し、そのデータについて検討を行った。その結果、3 種類のCPN全てにおいてCPNを塗布しなかったコントロール群と比べて高い接着強さを示し、特に第二世代のCPNが有意に高い値を示した。さらにサーマルサイクルによる劣化試験を行った後の接着強さでは、すべてのCPNでコントロールより有意に高い値となり、CPNの接着能及び耐久性への効果が示唆され、またCPNの違いにより結果が異なることもわかった。
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