研究課題/領域番号 |
16K20449
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小松 恵 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (20736194)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 垂直性歯根破折 / 歯科用CBCT / 病変の3次元構築モデル |
研究実績の概要 |
垂直性歯根破折は臨床上、大きな問題となることが多いが、臨床症状はしばしば根尖性歯周炎や歯周疾患に類似しており、鑑別診断は容易でない。確定診断には破折線の視認が必要となるが、デンタルX線写真上では、解剖学的構造物の重なり等により、破折線が読影される頻度は低い。 デンタルX線写真より歯科用CBCT画像の方が歯根破折の診断に優れているが、実際の臨床上では、ガッタパーチャ(天然ゴム性で、根管を充填する際の充填材として最も頻繁に使用されている歯科用材料)や金属ポスト等によるアーチファクトの影響や破折線の幅が検出限界以下であることも多く、検出が困難なことが多い。そのため、CBCTによる垂直性歯根破折線の診断には限界があると考えられてきた。 本研究の最大の特徴は、CBCT画像上において、歯根破折線そのものではなく、病変の形態や広がりについて調べたことである。最近の研究では、垂直性歯根破折の症例および垂直性歯根破折でなかった症例(根尖周囲外科手術時に確認)において、術前のCBCT画像の近遠心断面画像・頬舌断面画像・水平断面画像の3方向で病変を描出し、そこから3次元解析ソフトAmiraにて病変の3次元構築モデルを作成して、その体積を比較・検討することで、垂直性歯根破折が高率に診断可能となることを報告している。しかし、その診断精度や適応症例には依然として改善すべき点がある。特に、初期の根管性および根尖性歯根破折や側枝の診断は困難を極め、今後の研究課題といえる。本研究は、以上のようなこれまでの成果をさらに発展させるため立案されたものであり、報告した方法を用いて前向き研究を行い、診断精度の確認・改善を図る。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目標症例数100症例までがなかなか集まらない主な原因としては、以下の3つが考えられる。1.以下の除外基準(①~④)を満たす症例が適応症例が少ないこと。①メタルアーチファクトなどで病変が描出できない症例②病変が数歯に渡って広がっている症例 ③モーションアーチファクトがある症例④限局性の歯周ポケットが存在し、口内法エックス線写真上でVRFと確定できる症例 2.歯科用実体顕微鏡下における根管治療中の根管内の観察、抜歯等により破折線の有無の判定の前にCBCT撮影を行っている症例が少ないこと(破折疑いでのCBCT撮影の頻度が低いこと) 3.歯科用CBCTの使用が3DXに限られるようになったことから、今までの病変の描出方法と異なること(カットオフ値の見直しの必要性も考えられる)
|
今後の研究の推進方策 |
①まず、歯科用CBCTの使用が3DXに限られるようになったことから、後ろ向き研究で3DX撮影を行った症例を収集・評価し、カットオフ値の再考の必要性も考えられる。 ②同時に前向き研究は引き続き行っていく。 (歯根端切除術施行予定の症例は、収集し、さらなる評価を続ける。) ③鑑別診断は、第一段階として体積を用いた診断後、第二段階として異方性という形態評価を用いた診断とし、二段階で行う予定である。 以上より、さらに症例数を増やすとともに、評価精度を上げる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していたPCが予定していた料金より低い料金で購入できたことや学会発表が国内のみだったので、想定していたより旅費がかからなかったこと、などが挙げられる。
|
次年度使用額の使用計画 |
学会発表のための旅費(海外での発表も予定している) PCや電子機器等の物品購入 論文の掲載費や印刷費用
|