研究課題/領域番号 |
16K20450
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大倉 直人 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00547573)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | トランスポーター / プロスタグランジン / プロスタグランジンレセプター |
研究実績の概要 |
プロスタグランジン(PG)E2の機能の発現には、膜輸送担体(トランスポーター;細胞膜を介した物質輸送を司るタンパク質)による細胞外輸送、およびその後の特異的レセプターとの結合が必須の役割を演じると考えられている。ところが歯髄の創傷治癒過程におけるPGE2の輸送動態やレセプターサブタイプの関与の実態については極めて知見に乏しい。本研究はこれらの点の解明の端緒として、①MTAで直接覆髄したラット臼歯の創傷治癒過程におけるPGE2輸送関連トランスポーター(MRP4, PGT)とPGE2レセプター群(EP2およびEP4)の遺伝子発現解析/免疫組織化学的解析、②ヒト培養歯髄組織へのPGE2レセプター(EP2およびEP4)特異的作動薬添加による血管新生関連分子発現ならびに血管構築変化の解析、の2方向からアプローチを行うことで、歯髄組織修復過程におけるPGE2輸送動態、ならびにPGE2レセプターの役割に着目して検索しようとするものである。 H28年度は上記の研究目的を達成するための端緒として、MTA直接覆髄ラットを作製後、PGTおよびPGE2レセプター群に着目した遺伝子発現量についてリアルタイムPCR解析を正常時との比較解析を行った。その結果、EP2は処置後1日でmRNAレベルが著明に増加し、EP4は処置後1日から7日にかけて著明に増加したことが確認された一方で、PGTでは変化を認めなかった。また、各タンパクに対する経時的局在変化を酵素抗体法による免疫組織学的解析を行ったところ、PGTとEP2において処置後5日で象牙芽細胞様細胞の突起部分に発現していることが明らかとなったことから、象牙質修復時に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラット臼歯へのMTA直接覆髄はテクニックセンシティブによる可能性が非常に高いため、これに関する検討、すなわち再現性の確認を詳細に行った。そのため、次段階への検索がやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
次段階の検索としてEP2およびEP4作動薬を用いた機能解析実験を予定しており、いずれも予備的な検索結果は得られている。また、PGTおよびEP2に関しては神経保護への関与も報告されていることから、三叉神経節に対する経時的評価を実施する見込みである。以上のように、課題達成のために段階的に検索を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
検索中のEP2およびEP4の詳細な組織学的検索に時間がかかり、機能解析が行えなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
EP2およびEP4の作動薬については探索済みで、今年度から機能解析をスタートの準備は整えている。
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