研究課題
本プロジェクトではTLR4の発現からTRPV1合成に至る一連の情報伝達経路を形態学的、生化学的および電気生理学的手法を用いて総合的に解明することによって、歯髄炎に起因する舌の異所性異常疼痛発症に関して、三叉神経節細胞内における分子メカニズムの解明を目的とした。2014年にJournal of Neuroinflammation (Ohara et al.)で報告したモデル動物を用い、舌を支配しているTG神経細胞の興奮性を増強する経路について形態学的および生化学的手法を用いて、それぞれの分子の発現変化について定量解析を行い、各分子が炎症のない正常な舌を支配する三叉神経節細胞において発現増加があるかの解析を行った。さらに、これらの発現に対するTLR4ブロックの効果についても、同様の手法を用いて定量的な解析を加え、TLR4を介する経路が NFkBおよびMAPkの経路の活性化に関与するか否かを明らかにし、TLR4を介したNFkBおよびMAPkの経路が舌を支配する三叉神経節細胞において、TRPV1合成の亢進に関与するか否かについて形態学的および生化学的に解析を行った。今回の成果より、歯髄炎発症後、三叉神経節細胞体に軸索輸送され、歯髄を支配しているTG神経細胞体から細胞外分泌されたHSP70は舌を支配しているTG神経細胞のTLR4と結合し、舌を支配しているTG神経細胞の興奮性をNFkBおよびMAPk経路を介して増強する可能性が考えられている。興奮性を増したTG神経細胞では、TRPV1受容体の合成も増加している可能性が明らかになった。また,少数ではあるが、M1歯髄および舌を二重支配するTG細胞の存在も確認されており,この細胞が歯髄炎によって興奮性が増加すると、舌の感覚も担っていることから、舌の痛覚亢進にも直接的に関与する可能性が考えられる。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Mol Pain
巻: 印刷中 ページ: -
10.1177/1744806918763270
J Oral Sci
巻: 60 ページ: 8-13
10.2334/josnusd
Eur J Neurosci
巻: 46 ページ: 2190-2202
10.1111/ejn.13667
Eur J Oral Sci
巻: 125 ページ: 444-452
10.1111/eos.12382