研究課題
若手研究(B)
本研究では、歯科領域で用いられているユージノールの抗炎症作用をラット歯髄炎症モデルを用いて検討した。機械的に炎症を惹起したラット下顎切歯に酸化亜鉛ユージノール練和物(ZOE)を適用した。H-3標識ユージノールを用いて作製したZOE適用歯髄内のユージノール量を検討した。歯髄内には組織重量当たり最大で 3.6 ± 0.7 mmol/g のユージノールを認めた。また、歯髄へのZOEの適用は、プロスタグランジン(PG)E2受容体サブタイプのなかで EP2受容体の炎症時の発現誘導を抑制した。
放射線生物学
ユージノールを主成分とする丁子は古くから用いられ、10世紀に著された医心方に歯科治療の記録がある。本研究では、伝統的に用いられてきたユージノールの抗炎症作用の一部にプロスタグランジンE2合成酵素の抑制とプロスタグランジンE2受容体発現抑制が関与することを明らかとした。これらのメカニズムはより有用な抗炎症薬の治療標的になる可能性が示唆された。