(研究目的・実施計画) 本研究はう蝕進展による歯髄組織の炎症抑制とMMPsの接着修復に及ぼす影響の解明である。象牙質・歯髄複合 体に存在する細胞外マトリックス分解酵素が象牙質破壊に及ぼす影響の解明に焦点をあて、①炎症性サイトカイン刺激による歯髄反応とMMPs産生の解析②脱灰象牙質より産生されるMMPsの解析③脱灰象牙質由来MMPsが象牙質・歯髄複合体破壊に及ぼす影響④MMPs阻害剤が象牙質・歯髄複合体破壊及び接着修復に及ぼす影響について検討する研究計画を立案した。 炎症性サイトカイン刺激により産生されるMMP-3は組織破壊を進行する一方で血管新生を促進させることで創傷治に癒関与することが報告されており、炎症性サイトカインとMMPsを明らかにすることは組織破壊抑制、組織再生解明に極めて重要である。象牙質における樹脂含浸層のMMPsによる破壊を明らかにすることで接着修復による接着強度を高めることができるかを明らかにする。 本研究によりβ-cateninの発現はXAV939刺激により濃度依存的に減少し、β-catenin発現の減少に反してMMPsの発現は上昇した。またDQゼラチン、DQコラーゲンの分解はXAV刺激により促進していることが確認できた。またMMPsの発現はβ-catenin経路が関与していることが示唆された。本年度はβ-cateninのSiRNAによるKnock Downを行った。 β-cateninのKDによるMMPs産生について検討を行った。XAV939刺激によりMMP-1およびMMP-3の産生に影響を及ぼした。炎症性サイトカイン刺激によるMMPsの発現はβ-catenin経路が関与していることが示唆された。
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