研究課題/領域番号 |
16K20478
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野川 敏史 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (80759332)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ISRPD / 下顎遊離端欠損 / 3Dプリンタ |
研究実績の概要 |
本研究は、平成28年度にCTデータから模型を作成することを計画していた。当初は新たにCTデータを取得する予定であったが、本研究のためにCTを撮影することにはX線被爆という侵襲を伴い、患者の負担が大きいことから、既存のCTデータを取得することとした。本研究では、北海道大学病院に通院している患者のデータを利用することから、本院の自主臨床研究審査委員会に、研究実施計画書を提出し、個人の診療データの利用の承認と病院長の許可を得た。次に、対象となる患者を選定するため、インプラント埋入のためのCTを撮影した患者を本院の医療情報システムから抽出、CT画像を確認し、画像解析が可能な症例を選択した。 選択された患者のCTを画像解析ソフトであるMimicsによって解析し、3Dモデルを構築した。得られたモデルは、北海道大学病院生体技工部にある3Dプリンタにて出力し石膏モデルを作成した作成された模型は、CT撮影によるアーチファクトの影響で歯冠形態の一部が解析に耐えうる形態をしていなかったため、オリジナルの歯列を参考にして理想的な歯冠形態になるようにワックスアップを行った。義歯作製時の前処置として歯冠補綴を行うことはあり、今回の形態修正も臨床的に行われる許容範囲内であると考えた。 ワックスアップを行った模型は、石膏とワックスから成り、解析モデルとして強度に問題があるため、シリコンにて印象をとり、レジンに置換を行った。これによって、力学解析にも耐えうる強度の模型で、インプラント支持部分床義歯を作製するための前処置が終了した形態の模型が得られた。患者に義歯作製のために理想的な歯冠形態を付与した形態の模型を作製できたため、平成29年度に模型にインプラントを埋入し、ISRPDを作製したうえで、支台歯の挙動解析を行うための準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、患者のCTデータから、3Dモデルを構築し、3Dプリンタを用いた解析モデルの作製を行った。 当初の計画では、新規にCTデータを取得してモデルの構築を行う予定であったが、患者への侵襲を伴うことを考慮して、本研究では既存のCTデータを用いることとした。既存データでは精度がやや劣ることが懸念されたが、顎堤モデルについては特に問題なくデータの取得、模型の作製が行えた。歯冠形態については、予想以上にアーチファクトの影響があったが、オリジナルの歯列を参考にワックスアップを行うことで、実臨床での歯冠補綴の前処置を再現することとした。 当初の計画より順調に進んでいたため、当初の計画にはなかった、支台歯の歯根形態の再現を行うため、支台歯歯根形態の解析を行った。解析はほぼ完了しており、模型の支台歯部ソケットの形成、支台歯歯根の作製、埋入を行うのみで、解析モデルはほぼ完成している。 平成28年度の当初の計画の9割近くが終了しており、本研究の進捗は順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に解析模型は作成がほぼ終了したため、平成29年度には、当初の計画通り、ISRPDの作製と、支台装置の作製を行い、力学解析を行う予定である。本研究で使用するインプラントは、ストローマン社製スタンダードプラスの予定であったが、本研究と一部関連する研究において、日本ピストンリング社製IATインプラントシステムを用いることとなったため、本研究でも同様のインプラントを用いることとした。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、インプラント体及び各種アバットメントの費用を計上していたが、現段階で購入していないため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
当初計画通り、インプラント及び各種アバットメントの購入費用にあてる予定である。
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