平成28年度に作成した解析用模型では、アーチファクトの影響から歯列をワックスアップし理想的な配列としたが、画像解析ソフトでの解析方法の修正により、歯列と顎骨を分離してモデルを作成することに成功した。本研究で前処置を行う右下3、左下456の歯冠と歯根を除去した状態の3Dモデルを作成し3Dプリンタによってレジン製の顎態模型を作成した。また、支台歯3Dモデルをそれぞれ作成しPMMAレジンにて削り出し、歯冠部を支台歯形成し、模型に組み込んだうえで、外部の技工所に歯冠補綴物の作製を依頼した。左下456は全部鋳造冠を作成し、右下3はレジン前装冠とコーヌステレスコープ内冠を作成した。 義歯作製の際には疑似歯根膜および疑似粘膜を作成した状態で外部の技工所に通法通り局部床義歯作製を依頼した。ただし、直接支台歯の右下3部については直接支台装置が可変できるずれのない構造とするためネジ式にて作製した。これによって、ISRPDモデルの作成が完了した。 疑似歯根膜に用いるシリコンの種類と厚みについて粘膜適合試験材とガムシリコーンで検討した。その結果、粘膜適合試験材であるフィットチェッカーを0.3mm厚と設定した場合において、歯軸の垂直方向の荷重(~2kg重)で文献的に示されている天然歯と同様の挙動を示すことを確認した。 ISRPDモデルの解析については、インプラントの支持がある場合とない場合について検討を行った。また、各条件で直接支台歯形態をコーヌステレスコープ、エーカースクラスプ、新グラムレスト+ワイヤークラスプに変更して解析を行った。解析ポイントとしては、直接支台歯の遠心方向、垂直方向の変位量および義歯の垂直方向への変位量とした。
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