研究課題/領域番号 |
16K20479
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
白井 未來 (斎藤) 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (80754613)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 睡眠時ブラキシズム / 睡眠時無呼吸症候群 / 筋電図 / PSG検査 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,睡眠時の咀嚼筋筋電図波形と無呼吸発作の発現の関係性やリズム規則性を明らかにし,咀嚼筋筋活動波形の発現パターンから睡眠時無呼吸症候群の存在を予測しスクリーニングを行うことを可能にするアルゴリズムを確立することである. 平成29年度は,現有のデータを用い睡眠時無呼吸発作と睡眠時咀嚼筋活動発現パターンの解析へ向けて,予備的検討を行った. 1. 睡眠データの解析法の確立:通常のPSG測定項目に加え咬筋・顎二腹筋の筋電図と音声ビデオを終夜連続記録した睡眠検査データを解析した.現有のデータの中で睡眠時無呼吸と睡眠時ブラキシズムが併発している症例を用いた.PSG検査結果をAASM2007の基準に従い睡眠解析し, 咬筋筋電図と音声ビデオ記録を元にAASM2005の基準に従い睡眠時ブラキシズムの発現の判定を行った. その他の筋活動(嚥下,体動に伴うもの等)についても分析を行った. PSG検査結果と筋電図の解析結果を時間的に同期することにより睡眠時無呼吸発作発現のタイミングと睡眠時咀嚼筋活動発現のタイミングを把握することが可能となった. 2.発現パターンの解析:上記の解析法を用い発現のタイミングについて予備的解析を試みた.現有のデータをもとに睡眠時無呼吸と睡眠時ブラキシズムを併発している症例と睡眠時ブラキシズム単独の症例を比較検討した.時間的にマクロな視点では併発症例でのブラキシズムの発現は無呼吸発作の終了とともに開始され、さらに無呼吸発作の再開とともに(または以前に)終了するパターンが多く見られた.そしてそのパターンは無呼吸発作のリズムに従いその連続性に従って睡眠時ブラキシズムも連続していた.ブラキシズム単独症例では併発症例に比較しリズム性や連続性は乏しかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
睡眠検査を行う設備が整い,予備的検討により検査データの解析法も確立され睡眠時咀嚼筋活動と睡眠時無呼吸発作発現の時間的把握が可能となった.また現有のデータに基づき睡眠時無呼吸と睡眠時ブラキシズムの併発症例でのパターン解析へ向けての予備的解析を行い大まかなアルゴリズム確立へ向けての方向づけは可能となった。しかし、データ収集を行うことができていない状態にあるため,パターンやアルゴリズムの実際のデータとの照合が出来ず,アルゴリズム確立には至らなかった.
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今後の研究の推進方策 |
1.データの収集・処理 平成30年度は本格的なデータ収集を行う.対象は睡眠時ブラキシズムを疑う患者,睡眠時無呼吸と睡眠時ブラキシズムの併発を疑う患者とする. 得られたPSG検査データをもとに睡眠解析を行う.筋電図データを睡眠時ブラキシズム抽出自動解析ソフトを用いAASM2005の基準に従い分類し睡眠時ブラキシズムの判定を行う.その他の咀嚼筋活動(嚥下,体動に伴うもの等)についても分析を行う. 2.睡眠時咀嚼筋活動と睡眠時無呼吸併発時の睡眠時ブラキシズム発現パターンとの比較・その妥当性の検証 睡眠時咀嚼筋活動と睡眠時無呼吸併発時の発現パターン解析を行い,アルゴリズムを確立する.そのアルゴリズムに従い睡眠時咀嚼筋活動の発現パターンより睡眠時無呼吸発作併発の可能性を予測し,睡眠解析データと照合する.その再現性・妥当性を確認する.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) データ収集がまだ行えていないためそれに必要な経費がまだ使用されていない. (使用計画) 平成29年度に少なかったデータ測定時に必要な消耗品の購入,関連学会等への参加のための旅費が必要である.
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