研究課題
間葉系幹細胞(MSCs)は、一部神経堤幹細胞から派生し、中胚葉由来のMSCsも神経やグリアなど神経堤系統への分化能を有する事が明らかになっている。しかしながら、従来から行われている接着培養にて維持増殖させたMSCsは、未分化性を喪失し老化することも明らかになっている。我々は、本研究で培養方法を工夫する事でこの未分化性喪失を改善できないかと取り組み、最終的に骨再生へ応用することを目的に研究を進めてきた。初年度では、接着培養にて未分化性を喪失したMSCsは、振盪培養にてスフェア化する事でその未分化性を回復し、細胞塊形態を保持したまま維持する事が可能である事を明らかにする事ができた。この培養法は、国内特許申請(特願:2017-83483)に繋げる事ができた。また、さらなる解析からMSCs維持培地を用いた培養では、神経堤系への分化能を部分的に保有している事が分かった。最終年度では、このマウスMSCsスフェアの骨分化とヒトMSCsへの応用の可能性を検証する予定であった。ヒトMSCsにおいてもマウスMSCs同様、我々の振盪培養法を用いる事で、スフェア化する事が可能であり、未分化性を回復する事が分かっている。骨分化誘導では、スフェアをプラスチックシャーレに再度播種すると、スフェア周囲から細胞が遊走し、この遊走細胞を骨分化誘導培地にて分化誘導すると、アルカリフォスファターゼ陽性の骨芽細胞様細胞に分化する事が分かった。面白いことに、3週間の骨分化誘導培地下での培養では、スフェア自体のアルカリフォスファターゼ陽性率は低く、スフェアはより未分化性を高く維持し続ける事が示唆されている。現在は、このスフェア自体を3次元的な形態を維持させつつ、いかに骨分化誘導可能かその培養法を確立させることに取り組んでいる。
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International Immunology
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10.1093/intimm/dxy018