研究課題
メカニカルストレスが局所の骨に与える影響は計り知れない。本研究では、メカニカルストレスが骨内部に与える歪みが骨芽細胞・破骨細胞の動向しいては骨の形成・吸収をに与える影響を明らかにすることを目的とした。野生型マウスと炎症性サイトカインであるTNF-α欠損マウスを用いることで炎症による影響を抑え、より純粋にメカニカルストレスの影響を検証することができた。前年度までに、メカニカルストレスによって、野生型マウスでは近接する軟組織及び骨表面に炎症性細胞の浸潤を認め 、炎症が引き起こされるかを確認。その上で、破骨細胞の出現にメカニカルストレスが影響するとともに、生じている歪みの大きさが破骨細胞の発現およびその量に関与することが明らかにされた。さらには、破骨細胞の発現する際の閾値を示唆することができた。さらに、メカニカルストレスを感知した骨細胞から算出され、骨芽細胞の活性化を抑制するスクレロスチンを計測することにより、メカニカルストレスによって骨形成量が抑制・亢進される歪みの大きさとの関連を示唆することができた。一方で、メカニカルストレスが骨に与える影響を研究していく上で、生じる歪みの大きさを正確に把握することが重要となる。歪みの大きさは、骨のヤング率から算出するが、骨の微細構造が骨ヤング率に影響を与えることがわかり、その影響を考慮したCT値からヤング率の新しい換算方法の提唱が急務である。そのために、ナノインデンテーション法を用いて骨の微細部位のヤング率を直接計測し、どう部位のCT値を比較することで、新しい換算式を提唱した。しかしながら、より換算式の精度を向上させるためには、さらなる広範囲の骨を用いて実験することが必要であり、骨は生体内でも部位によって組成に差があるため、まずは上下顎骨に限定した換算式を提唱し、それを全身の骨へ応用できるように検証していく必要がある。
すべて 2018
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Dental, Oral and Craniofacial Research
巻: 4 ページ: 1-7
10.15761/DOCR.1000254