研究実績の概要 |
歯科用チタンインプラントにおいて, 歯肉貫通部での口腔粘膜上皮による封鎖は, 細菌などの侵入を防ぐためインプラント治療成功への重要な要因と考えられる. しかしながらチタン-上皮間の封鎖性を高める有効な手段は未だ確立されていない. そこで我々は細胞接着において重要なカルシウムをチタン製インプラント表面に水熱処理を用いて修飾し、以下のような実験をおこなった. 1) PIEの接着構造;Ca-Ht群においてのみ埋入1週間後より, Ln陽性の新生上皮がインプラント表面に沿って観察された. また4週間後において比較群が根尖側2/3に限局していたのに対し, Ca-Ht群では界面全体に認められた. 2) HRP滴下実験;歯肉溝から根尖側へとインプラントとPIEの界面に沿ったHRPの侵入は, Ca-Ht群では比較群より明らかに抑制された. 3) Ca-Ht群では細胞の接着能が比較群より明らかに向上しており, その一因として接着関連タンパクの発現と細胞骨格の発達が観察された.
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