インプラント体とアバットメントの連結部に存在するわずかな間隙であるマイクロギャップへの口腔内嫌気性細菌の侵入や増殖に加え上部構造への咬合力が加わることでわずかな曲げ応力が発生し、内部に侵入した細菌が近接するインプラント周囲歯肉溝へと溢出しインプラント周囲骨の吸収因子となることは臨床上大きな問題である。 本研究では、連結様式の異なるインプラント体に対して作製したカンチレバー構造を持つ上部構造において、力をかける位置や上部構造のスクリューの締結トルクなどマイクロギャップからの細菌溢出量に影響をもたらすと考えられる様々な因子を変数とし、これらの条件の違いにより、どのような条件で、どのような種類のインプラント体、あるいは上部構造であれば細菌の溢出量を減じ、インプラント周囲炎のリスクを減らすことができるかを考察し、応力の観点からインプラント周囲炎の発生を抑制する補綴プロトコルを作成することを目的とした。 上記の目的から、本研究では、エクスターナル、インターナルおよびテーパージョイントの3種の連結様式を有するインプラントーアバットメント連結体を締結した際に生じるマイクロギャップの実測をSEMを用いて行った。 また、マイクロギャップを生じる界面までプールに水没を行い、アクセスホールに規定量のトルイジンブルー溶液を入れ、オートグラフにて断続的な荷重負荷を行い、プール内の水を吸光度計にて測定し荷重し、ギャップ量と溶液溢出量の関係を明らかにした。 インプラント体の連結様式の違いによる、上部構造への荷重負荷とマイクロギャップ量および細菌(細菌性毒素)の溢出に関するパラメータを得ることとなり、インプラント周囲炎予防のための補綴プロトコル作成の一助とすることができた。
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