研究課題/領域番号 |
16K20512
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
角田 拓哉 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (30756234)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 維持力 / 上顎義歯 / 総義歯 |
研究実績の概要 |
先行研究において,チェアサイドにおける簡便な維持力測定装置(ひずみゲージ)を開発し,上顎全部床義歯の維持力を測定するための測定方法・測定部位を報告した.しかし開発した維持力測定装置は,従来の装置に比べ小型化されたが,製作や設置に時間がかかり,日常臨床に取り入れることは困難である.そこで,まず一般に市販されている装置を用いて維持力を測定する方法を確立すべきと考えた.維持力測定装置は,デジタルフォースゲージ(Degital Force gauge RX Series; AIKOHENGINEERING, Tokyo, Japan)を使用した.牽引治具は,フック状のものを取り付けた.牽引治具にはさらに,義歯脱離時に被験者の粘膜の損傷・義歯の破損を防ぐため,45°の角度でアクリル板を付着した.まずは模型実験を行った.模型上にて,先行研究と同様の方法でデジタルフォースゲージを用いた測定が可能であることが示唆された.また,口腔保湿剤の物性解析を行った.使用したものは,人口唾液・スプレータイプ・リキッドタイプ・ジェルタイプの4種を用いた.実際の口腔内において,口腔保湿剤の粘度が義歯維持力に与える影響を明らかにするため,予備研究として7名の上顎無歯顎者を被検者とし,介在液別の上顎全部床義歯の維持力測定を行った.さらに被検者を増やし,35名で計測を行った. 次に顎堤の高さ・形態が維持力に及ぼす影響を分析する.計測には当講座で製作したサポーティングティッシュスケールを用い,評価方法は,顎堤の高さを3段階,顎堤の形態を4段階に分類した. また中切歯切縁の牽引による維持力測定は,前歯部歯槽頂周囲に力がかかることは明らかである.そのため,臼歯部の顎堤高さ・形態には影響を与えなかったと考える.そこで,中切歯切縁,前歯部歯槽頂,義歯後縁の相対的な位置関係が維持力に及ぼす影響を分析する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに順調に研究が進んでいるため問題ない。 このまま研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
35名の被験者での計測が終了した.今後はこの計測結果をもとに,統計処理や考察をまとめていく予定である. すべての測定値において,正規性の検定として,Shapiro-Wilk検定を行う. 6条件における維持力の平均値について,Friedmanの検定で分散分析後,多重比較検定はBonferroniの方法を用いる.臼歯部の顎堤高さ・形態については,Levene検定と1元配置分散分析あるいはKruskal-Wallis検定を行う.中切歯切縁,前歯部顎堤頂,義歯後縁の位置関係と維持力の関係は,Spearmanの順位相関係数を行う.統計処理にはSPSS ver19(SPAW Statistics Base 19 ® ; IBM, Tokyo, Japan)を用いる.
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次年度使用額が生じた理由 |
現在購入品の支払処理中であるためまだ反映されていない。
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