研究実績の概要 |
超高齢社会を迎え,生存年齢が延長したが,患者の顎堤の吸収,口腔乾燥,顎位の変化等もともに進み,難症例の患者数は増加してる。 質の高い全部床義歯治療には粘膜面との適合状態,咬合状態,維持力が重要である。そこで, まず一般に市販されている装置を用いて維持力を測定する方法を確立すべきと考えた。維持力測定装置は,デジタルフォースゲージ(Degital Force gauge RXSeries; AIKOHENGINEERING, Tokyo, Japan)を使用した。牽引治具は,フック状のものを取り付けた。牽引治具にはさらに,義歯脱離時に被験者の粘膜の損傷・義歯の破損を防ぐため,45°の角度でアクリル板を付着した。最初に模型実験を行った。模型上にて,先行研究と同様の方法でデジタルフォースゲージを用いた測定が可能であることが示唆された。そこで,無歯顎者の上顎全部床義歯の維持力を測定し,中切歯切縁を加圧測定することで義歯の維持力を測定できることが明らかとなった.さらに,本研究では上顎全部床義歯患者に義歯安定剤と口腔保湿剤を使用してもらい,客観的評価と主観的評価から義歯維持力に及ぼす影響を明らかにし,口腔保湿剤が義歯安定剤の代用となる条件を明らかにすることを目的としている。過去の文献でも口腔保湿剤の物性について明らかにしているものはある。しかし,現在市販されている口腔保湿剤は数多く,新製品も多いうえ商品によっては改良により物性が変化していると考えられる。そこで,模型上での物性を計測中である。
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