研究実績の概要 |
睡眠時ブラキシズムは,睡眠中の非機能的な顎運動であり,日中の最大咬合力を超える大きな力を伴うものや,数分間にわたり持続するものがある.その影響は顎口腔系の諸器官に障害をもたらし,患者のQOLの低下をまねく一因となる.これまで,睡眠時ブラキシズムの治療法は確立されておらず,対処法としてスプリント療法が広く行われている.しかし,睡眠時ブラキシズムを抑制する効果は乏しく,筋痛や顎関節症を持つ患者への効果は低かった.そのため根本的な治療法の確立が急務であった.本研究では,振動型バイオフィードバックを応用した睡眠時ブラキシズム抑制スプリントを製作し,睡眠時ブラキシズムイベントの変化,症状の緩和効果,睡眠構造への影響の検証を行い,臨床的に有効な治療法か検証する事を目的に実施した.その結果,振動刺激により睡眠時ブラキシズム持続時間が26.0±20.0秒/時から14.3±9.5秒/時へと有意に減少することが証明された(paired t-test, p<0.05).また,睡眠時ブラキシズムのエピソード数及び各睡眠変数に有意な変化は認められなかった.以上より,振動型バイオフィードバックを応用した睡眠時ブラキシズム抑制スプリントが睡眠時ブラキシズムマネージメントに有効な方法である可能性が示唆された.本研究結果はSleep & Breathingに2019年に掲載された.
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