研究課題/領域番号 |
16K20518
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
伏木 亮祐 日本大学, 歯学部, 専修医 (90632563)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ジルコニア / 接着強さ / 破壊強度 / 歯科切削加工用材料 |
研究実績の概要 |
本研究は前装材料のチッピングの防止を目的とし、キャドオンテクニックを用いて歯科切削加工用材料を前装したジルコニアクラウンの長期耐久性を含めた接着方法および破壊抵抗性を比較検討した。H28 年度は、各種表面処理がCAD/CAM用コンポジットレジンブロックとレジン系装着材料の接着強さに及ぼす影響について比較検討を行った。4条件の表面処理、4種類のプライマー処理、さらに2種類のレジン系装着材料を用いて、接着を行った。その結果、アルミナブラスト処理とプライマー処理を行うことが有効であると示唆された。以上の内容は、第125回日本補綴歯科学会学術大会で発表を行った。 さらに、表面処理の違いがジルコニアと各種前装材料の接着強さに及ぼす影響について比較検討を行った。前装材料には、CAD/CAM用二ケイ酸リチウム強化型セラミックスブロックとCAD/CAM用コンポジットレジンブロックを用いた。3条件の表面処理、4種類のプライマー処理を用いて、接着を行った。その結果、CAD/CAM用二ケイ酸リチウム強化型セラミックスブロックには、シランを含むプライマー処理が有効であり、CAD/CAM用コンポジットレジンブロックには、サンドブラスト処理が有効であると示唆された。 また、上記の研究で得られたデータを参考にして、前装材料の違いがジルコニアクラウンの破壊強度に及ぼす影響について比較検討を行った。インプラント上部構造としてジルコニアオールセラミッククラウン、コンポジット前装ジルコニアクラウン、CAD/CAM用コンポジットレジンブロックを前装したジルコニアクラウン、およびモノリティックコンポジットレジンクラウンの4種類の修復物を用いて破棄強度を測定した。その結果、キャドオンテクニックを用いて製作した上部構造は陶材および間接修復用コンポジットを前装した上部構造と同程度の破棄強度を有することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種表面処理がCAD/CAM用コンポジットレジンブロックとレジン系装着材料の接着強さに及ぼす影響について比較検討するため、直径10㎜と8㎜のCAD/CAM用コンポジットレジンブロックの円形平板を用いて、4条件の表面処理と4種類のプライマー処理を行い、2種類のレジン系装着材料を用いて接着を行った。製作した試料は、24時間精製水中に保管後、半数の試料は水中熱サイクル試験を行い、せん断接着強さを測定した。本実験より得られた結果をまとめ、論文を作成中である。 また、表面処理の違いがジルコニアと各種前装材料の接着強さに及ぼす影響について比較検討するために、被着体としてジルコニアの円形平板を用い、前装材料としてCAD/CAM用二ケイ酸リチウム強化型セラミックスブロック、あるいはCAD/CAM用コンポジットレジンブロックの円形平板を用いて、各種前装材料に3条件の表面処理と4種類のプライマー処理を行い、2種類のレジン系装着材料を用いて接着を行った。製作した試料は、24時間精製水中に保管後、せん断接着強さを測定した。さらに、ジルコニアと各種前装材料の接着耐久性を比較検討するため、研究を進行中である。 さらに、前装材料の違いがジルコニアクラウンの破壊強度に及ぼす影響について比較検討するために、インプラント上部構造としてジルコニアオールセラミッククラウン、コンポジット前装ジルコニアクラウン、CAD/CAM用コンポジットレジンブロックおよびCAD/CAM用二ケイ酸リチウム強化型セラミックスブロックを前装したジルコニアクラウンの4種類の修復物を用いて、破棄強度を測定した。本実験より得られた結果をまとめ、論文を作成中である。また、各修復物の加速劣化試験後の破壊強度を比較検討するため、研究を進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題である表面処理の違いがジルコニアと各種前装材料の接着耐久性に及ぼす影響については、平成28年度にジルコニアと各種歯科切削加工用材料の初期接着強さの比較検討を行った。平成29年度は平成28年度に行った実験と同条件の表面処理、プライマー処理あるいはレジン系装着材料を用いて接着を行った後、水中熱サイクル試験を行い、ジルコニアと各種歯科切削加工用材料の接着耐久性について検討を行う。 一方、前装材料の違いがジルコニアクラウンの破壊強度に及ぼす影響については、平成28年度にインプラント上部構造としてのジルコニアオールセラミッククラウン、コンポジット前装ジルコニアクラウン、CAD/CAM用コンポジットレジンブロックおよびCAD/CAM用二ケイ酸リチウム強化型セラミックスブロックを前装したジルコニアクラウンの4種類の破壊強度の比較検討を行った。平成29年度は口腔内を想定した加速劣化条件として、水中熱サイクル負荷と繰り返し過重負荷を与えることで、各種ジルコニア修復物の破壊耐久性について検討を行う。また、ジルコニアセラミックスと各種歯科切削加工用材料の接着耐久性の研究で得られた有効な表面処理方法やレジン系装着材料が、コンポジット前装ジルコニアクラウン、CAD/CAM用コンポジットレジンブロック、あるいはCAD/CAM用二ケイ酸リチウム強化型セラミックスブロックを前装したジルコニアクラウンの破棄強度に与える影響について比較検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品として実験材料を購入時に差額が生じたため平成29年度の助成金に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
CAD/CAM用コンポジットレジンブロック・二ケイ酸リチウム強化型セラミックスブロック、間接修復用コンポジットレジン、あるいは陶材は、せん断接着試験の円形平板試料を製作するために購入する。また、ジルコニアフレーム、前装材料であるCAD/CAM用コンポジットレジンブロックと二ケイ酸リチウム強化型セラミックスブロックは、破壊試験の試料として国内の製造者に依頼し、作製するため、消耗品費として使用する。その他に、ジルコニアと前装材料を接着するための装着材料、万能試験機にて各試験を行うために治具や鉛箔など、あるいはせん断接着試験、破壊試験後に破壊された試料をSEMにて観察するためのSEM観察用品を消耗品として購入する。また、これらデータの管理としてOA消耗品を購入し、論文投稿料、翻訳・校閲料、成果発表のための学会参加費・旅費を使用計画とする。
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