研究課題/領域番号 |
16K20525
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
覚道 昌樹 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (80758061)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 超音波検査 / 超音波診断装置 / 嚥下内視鏡 / 咀嚼時舌運動 / 食塊移送 / 咀嚼訓練用食品 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は超音波診断装置を用いて咀嚼時舌運動の観察・記録を行うと同時に,嚥下内視鏡を用いて咽頭部における食塊移送の動態観察を行い,咀嚼時舌運動と食塊咽頭移送の関連性の解明である.平成28年度は,若年の健常有歯顎者における舌運動と食塊移送の分析を行った.対象は健常有歯顎者の男性9名と女性1名で,平均年齢は28.3歳であった.舌運動の観察はGEヘルスケアジャパン社製の超音波診断装置,LOGIQ Book XP Enhancedおよびマイクロリニア型プローブI739-RSを用いた.さらに,食塊の咽頭移送の観察にはオリンパス社製,嚥下内視鏡,ENF-P4,直径3.4 mmを用いた.各種計測機器を接続し,診断画面上で同時計測と記録を行った.診断画面上での同時計測には同期されたビデオタイマーを用いました.被験食品は大塚製薬工場社製,咀嚼訓練用食品,プロセスリードを用いた. 咀嚼開始から初回の嚥下発生までの時間,咽頭流入時間,ホワイトアウト時間,嚥下時に舌が口蓋に接触している時間,咀嚼開始から食品をすべて食べ終えるまでの摂食時間をそれぞれ計測し,各検討項目の時間の長さの相関関係を統計学的に検討した.さらに,嚥下時の舌運動とホワイトアウトの発生順序を検討した. 初回嚥下までの時間と摂食時間との間に正の相関,ホワイトアウト時間と咽頭流入時間の間に正の相関をそれぞれ認めた.また,すべての被験者において,ホワイトアウトよりも嚥下時舌運動が先行して観察された.さらに,1名の被験者を除いて,ホワイトアウトは舌が口蓋に接触するまでに観察された.加えて,すべての被験者で,ホワイトアウトの終了よりも遅れて,口蓋から舌が離れることが認められた. 以上より,舌運動が嚥下時にまず発生し,その後,咽頭部の収縮が起こり,舌が挙上されるという一連の嚥下時の舌と咽頭部の運動が明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ,本研究課題の遂行に当たって特に目立った問題はない.
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今後の研究の推進方策 |
今後は被験対象者の範囲を広げ,同等の計測をより多く行っていく方針である.また,本年度の研究の結果,下顎運動の計測も必要であることが考えられたため,研究者が所属先研究機関で所有している下顎運動計測機器等も導入してさらに検討を加える予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果発表は2017年3月開催の国際学会で発表を行ったが,費用請求は次年度以降としたため,旅費の請求に関して本年度は0円とした.また,その他の費用として30,000円を計上していたが使用することはなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果発表を国際学会にて行った旅費として使用する.また,消耗品購入費として使用する.
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