研究課題/領域番号 |
16K20530
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川井 忠 東北大学, 大学病院, 助教 (50547263)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 骨再生 / OCP/Collagen / MSC |
研究実績の概要 |
本研究では、リン酸オクタカルシウム・コラーゲン複合体(OCP/Collagen)と未分化幹細胞(MSC)とを組み合わせた担体(OCP/Col・MSC)により、イヌ下顎骨区域切除モデルでの骨再生法を確立させることを目的としている。H28年度は、OCP/Collagenのみでの骨再生能を確認することとした。6頭のビーグル犬を使用し、下顎骨区域切除モデルとして幅15ミリの骨欠損を設定した。下顎骨区域切除術は、口腔内からの感染を防ぐ目的で口腔外から行うこととし、そのため、下顎骨区域切除術を行う部位の歯牙については事前に抜歯を行い、歯肉粘膜が治癒した状態を確認した約3か月後に区域切除を施行した。区域切除によって形成された骨欠損部はチタンプレート2枚とスクリューにて固定し、その骨欠損部が十分補填されるようにOCP/Collagenを埋入し、閉鎖縫合した。OCP/Collagen埋入6か月後に、大量のペントバルビタールにて安楽死させ、標本を摘出し、マイクロCTの撮影、軟X線写真撮影、非脱灰標本を用いてビラヌエバボーン染色を行い、組織学的に確認した。その結果、6頭中3頭では骨欠損部に新生骨が確認され、両側骨断端が連続していた。しかし、残り3頭では骨欠損が残存し、両側の骨断端は連続しなかった。H28年度の結果は、次年度以降行う予定の、OCP/Col・MSC埋入実験との比較データとして使用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イヌを用いた実験はこれまでにも数多く行ってきたため、手術手技や骨欠損モデル作製法の確立は容易であった。H28年度はOCP/Collagen単体のみの埋入実験であったため、材料の準備も容易であった。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度では、イヌ腸骨から骨髄を採取し、MSCの培養を行う。骨髄をどれだけ採取すれば十分なMSCが採取できるかを確認し、また骨芽細胞様細胞への分化促進についても確認する。MSC培養手技が確立したら、OCP/CollagenとMSCを組み合わせ、イヌ下顎骨区域切除モデルへの埋入実験を行い、H28年度の行った結果と比較することで、MSCの効果を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に使用する薬剤の購入予定があったが、注文後から物品の納品が年度をまたいでしまったため、残金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
4月以降に納品されるため、その際に使用する。
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