H30年度はイヌ骨髄から採取したMSCを分化誘導させ、OCP/Collagenに播種してイヌ下顎骨区域切除モデルに使用する予定であった。しかし、共同研究者らと細胞での骨再生能向上を目指す方針に加えて、成長因子を添加しても骨再生能向上を目指す実験も検討することとなった。実際にOCP/Collagenに副甲状腺ホルモン製剤であるテリパラチドを播種し、ラット頭蓋骨骨欠損部に埋入した実験結果から、その骨再生能向上効果が確認された。その後、本実験でのイヌ下顎骨区域切除モデルに使用することとした。実験に用いたイヌは5頭であり、径9mm、厚さ1.5mmのOCP/Collagenディスク30枚にテリパラチド56.5㎎/mlを播種し、骨欠損部に埋入した。埋入後は1か月毎のX線写真撮影を行い、経時的に埋入した材料のX線不透過性が向上することが確認され、6か月後には5例全例で良好な骨形成が行われていることが確認された。その後、MSCを播種したOCP/Collagenの埋入実験も予定されたが、材料準備の行程の複雑さなどの理由から、本年度での実験は日程が足らず、延期となった。これらの結果から、未分化幹細胞を分化誘導させてOCP/Collagenに播種することによってより最適な骨再生材料を作製する計画から、成長因子添加での骨再生能向上を先に目指すこととなった。細胞を使用しての骨再生能評価は今後に行う予定し、また今回のテリパラチドに比べて有効であるのかを評価することが課題として残った。
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