本研究は手術時に遭遇する静脈損傷リスクの評価を目的に、口底部静脈の走向様式を解剖学的に検索した。新潟大学歯学部・大学院人体解剖学実習用のご遺体を用いて、口底部静脈叢を構成する静脈根の特定と様式化を試みた。口底部の静脈根は、オトガイ下静脈、舌下神経伴行静脈、舌下静脈、舌深静脈に加え、舌神経および顎下腺管に伴行する今回新たに命名した舌神経伴行静脈と顎下腺管伴行静脈の計6本から構成されることが明らかになった。個体により欠如や複数化する静脈根の有無のバリエーションがあったが、すべての静脈根をもつ静脈叢が基本型であった。静脈と動脈の相関性は低く、静脈から口底部動脈走行を特定することは困難であった。
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