研究実績の概要 |
従来から臨床における骨強度は骨密度を計測することにより評価されてきたが, 2000年のNIHコンセンサス会議において, 骨密度以外の因子である骨質(骨の微細構造,,骨代謝回転など)の重要性が提唱され, 歯科インプラント分野においても骨密度以外の説明因子である骨質のパラメーターの探索が必要不可欠であるが, 歯科インプラント治療における骨組織の構造や機能は, X線CTを用いてBApの存在量を基準とした骨密度のみで評価しているのが現状であり,骨質は臨床的に評価されてない。超音波は,伝播する物質の媒質により速度や強度が変化する弾性波動である。医科領域において, 超音波は定量的超音波測定法(QUS)として応用されている。近年, QUSパラメーターである超音波速度(Speed Of Sound; SOS)がヒト大腿骨を用いたex-vivoにおいて,骨密度とBAp配向性の両方に規定されている可能性が明らかとなった。そこで本研究では骨質のパラメーターとしてBAp配向性に着目し, その臨床的評価に超音波を応用することで歯科インプラントにおける無被曝の骨質術前診断システムの開発を目指す。本研究結果よりcSOSが皮質骨骨密度(BMD)と多孔率Poと相関することが明らかとなった。また, 皮質骨厚径(CbTh)が一定の場合にインプラント埋入時の臨床的評価法の一つである埋入トルク値(ITV)と相関, さらには埋入後の臨床評価法の一つであるインプラント安定度指数(ISQ)とも相関を認めたことから歯科インプラント領域の術前診断法として有用である可能性が示唆された。今後は骨粗鬆症モデルのラビットでの経時的な観察および顎骨での測定を行うことで臨床的有用性を検討していきたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究結果よりcSOSが皮質骨骨密度(BMD)と多孔率Poと相関することが明らかとなった。また, 皮質骨厚径(CbTh)が一定の場合にインプラント埋入時の臨床的評価法の一つである埋入トルク値(ITV)と相関, さらには埋入後の臨床評価法の一つであるインプラント安定度指数(ISQ)とも相関を認めたことから歯科インプラント領域の術前診断法として有用である可能性が示唆された。したがって, ex-vivoにおけるsosの有用性は確認できたことからおおむね順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究結果よりcSOSが皮質骨骨密度(BMD)と多孔率Poと相関することが明らかとなった。また, 皮質骨厚径(CbTh)が一定の場合にインプラント埋入時の臨床的評価法の一つである埋入トルク値(ITV)と相関, さらには埋入後の臨床評価法の一つであるインプラント安定度指数(ISQ)とも相関を認めたことから歯科インプラント領域の術前診断法として有用である可能性が示唆された。 今後は長管骨と顎骨のハイドロキシアパタイトの配向性は著しく異なることが考えられることから骨粗鬆症モデルのラビットでの顎骨と大腿骨に骨欠損を作製後, 経時的に回復を観察し, μCTおよび埋入トルク値などの力学試験を行うことで歯科インプラント分野での臨床的有用性を検討していきたいと考える。
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