現在、口腔内疾患により失われた歯周・顎骨組織を再生させる手段がTissue engineering の3 要素を基盤に研究されている。その中で重要な役割を担う成長因子は、細胞を制御する必須の因子であり、様々な種類が検討されているが、決定的な物はいまだ存在せず、単一の成長因子では細胞の遊走・増殖・分化を十分にコントロール出来ないと考えられる。そこで本研究では、様々な液性因子を含むサイトカインカクテルとして、多分化能を持つ組織幹細胞の一つである脱分化脂肪細胞(de-differentiated fat cell: DFAT)の培養上清に着目し、DFAT培養上清の骨形成能を網羅的に解析し、安全、効率的かつ予知性の高い理想的な骨再生療法の基盤確立を行うことを目的としている。 in vitro実験系において、ラットDFAT(rDFAT)を維持培地、骨分化培地に種々の成長因子を加えた様々な条件で培養後、無血清培地に交換、培養上清回収し、ELIZA法にてVEGF、TGF-β1、HGF、IGF-1に関して定量的に解析した。現在までにrDFAT培養上清中にVEGF、TGF-β1、HGF、IGF-1すべて確認され、Bone morphogenetic protein-9とFK506で共刺激したrDFAT培養上清中におけるVEGF、TGF-β1、HGF、IGF-1の量は他群と比較し増加していることが認められた。
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