研究課題/領域番号 |
16K20542
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
本城 賢一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (00756877)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歯髄由来細胞 / 羊膜 / 培養細胞シート / 神経分化誘導 |
研究実績の概要 |
生物学的材料として様々な医療領域分野で注目されている羊膜を基質とした羊膜上歯髄由来細胞シートを応用し、歯髄疾患の新たな治療法の開発を目的としている。羊膜は基底膜においてⅣ型コラーゲンおよびラミニンの発現がみられるなど、細胞の培養基質として妥当な組織であり、さらには血管成分を含まないため、移植後の免疫反応を軽減することが可能である。各種細胞の培養基底膜として適し、皮膚移植、膣形成術、腹部手術の際の癒着・瘢痕防止、皮膚熱傷後などの創部の被覆による治癒促進、さらには眼表面の再建などの手術療法に用いる報告があり、その移植材料としてだけでなく、培養基質としても高い有用性・有効性が注目されている。羊膜は、帝王切開時の胎盤より採取したもの、および再生医療支援機構・近畿羊膜バンクからの研究用羊膜の譲渡・供給を受け、研究に用いた。歯髄由来組織は智歯抜歯術の際に、無菌的に採取した。得られた歯髄由来組織を抗菌薬を添加したPBS(-)にて洗浄後、初代細胞を得るための培養を行った。3~4継代培養後、歯髄由来細胞として使用した。羊膜上の細胞培養系にて歯髄由来細胞を培養し、神経分化誘導培地を用いて、神経細胞へと分化誘導した羊膜上培養歯髄由来細胞シートを作成した。組織学的・免疫組織学的検討を行ったところ、神経細胞へと分化誘導した歯髄由来細胞は羊膜上にて増殖し、層状を有しており、培養細胞シートの作成が可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
羊膜上において歯髄由来細胞を培養し、神経分化誘導を行った結果、羊膜上にて歯髄由来細胞は増殖し、層状構造を得ている。以上より、研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
作成した培養細胞シートに対して、さらなる免疫組織学的検討を加える。また、作成した培養細胞シートを実験動物へ移植を行う。移植方法は、実験動物の臼歯の咬合面を削合し歯髄露出させた歯髄炎モデルへ移植する。移植約2・4週間後、歯牙ごと移植片を採取し、組織学的、免疫組織学的検討を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の実験に必要な物品を、当初予定していた金額よりも安価に入手することが可能であったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度請求額とあわせて実験材料ならびに実験動物の購入、研究成果発表のための旅費・投稿費として使用する予定である。
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