研究課題/領域番号 |
16K20544
|
研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
守 源太郎 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (30733745)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | インプラント / インプラント周囲上皮 / 結合組織 / レーザーマイクロダイセクション |
研究実績の概要 |
インプラント治療の普及とともに細菌感染が原因であるインプラント周囲炎が増加しており、その予防法の確立が歯科界の重要な課題である。インプラント周囲上皮の下方増殖は歯周病細菌に発育環境を与え、生物学的幅径の変化は骨の吸収につながると考えられている。そこで本研究ではインプラント周囲上皮の下方増殖を制御し、歯周病細菌に発育環境を与えず、生物学的幅径を維持することで骨の吸収を予防しようとする新しいインプラント周囲炎予防法の確立を目指す。具体的にはインプラント周囲上皮が下方増殖する際の、上皮と結合組織内での上皮増殖関連因子を同定し、上皮と結合組織による動的な組織変化の詳細なメカニズムを明らかにしていく。 平成28年度はインプラント周囲上皮と結合組織の遺伝子発現プロフィールの作製を行った。雄性SD系ラットに対しインプラント(純チタン:直径1.5mm、長さ4mm)を埋入し、埋入から4週間後に顎骨を摘出した。摘出した顎骨から凍結切片を作製しインプラント周囲上皮と結合組織をレーザーマイクロダイセクション(LMD)を用いてダイセクションし、GeneChip(Rat genome 430 2.0 array)にてHybridization後に、アレイ統計解析ソフトGeneSprings GXを用いて、網羅的遺伝子発現の検索を行った。その結果、インプラント周囲上皮には上皮の増殖性を抑制する遺伝子群が多数発現していることが明らかとなった。今後は、結合組織の遺伝子発現プロフィールを作成していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の28年度は、マイクロアレイ解析を行うため、対照群であるインプラント埋入モデルと実験群であるインプラント周囲炎モデルラットの作成を進めている。対照群であるインプラント埋入モデルは予定のN数のサンプルを作成することができた。しかし、実験群であるインプラント周囲炎モデルの致死率が高いことと、インプラント体の脱落が頻発していることから実験の進捗に遅れが生じている。 また、顎骨を摘出しレーザーマイクロダイセクション(LMD)にて組織採取を行ったところ、上皮組織から解析可能なクオリティーの高いRNAの抽出には成功したが、結合組織からのRNAの抽出が難しく十分なRNAを確保できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
遅延理由である、インプラント周囲炎モデルの高い致死率を改善するためLPSを用いた方法からリガチャーを用いた方法へ計画の変更を予定している。また、レーザーマイクロダイセクション(LMD)による上皮下結合組織のサンプリングは①屠殺直後にRNAを安定化し凍結切片を作成する ②LMDによる採取面積をこれまでの面積から2~3倍程度増やすことを検討している。これらの研究計画の変更によって平成28年度の問題点を改善していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は実験群であるインプラント周囲炎モデルラットの作成ができず、計画していたRNAの抽出が行えなかったことが原因である。そのため実験群のレーザーマイクロダイセクション関連器材分の使用額が次年度に繰り越してしまった。
|
次年度使用額の使用計画 |
今後は、炎症を惹起する方法の変更を予定している。これにより次年度使用額分を予定通り使用して行く予定である。
|