研究実績の概要 |
インプラント周囲上皮の下方増殖は歯周病細菌に発育環境を与え、生物学的幅径の変化は骨の吸収につながると考えられている。そのため、インプラント周囲上皮と結合組織から構成される軟組織群はバリアーとして重要な組織と考えられる。そこで本研究ではこれらの軟組織群がどのような機序で恒常性や上皮と結合組織による幅を維持しバリアーとして機能しているか、それぞれの組織を網羅的に解析することでその特徴を明らかにしていくこととした。 平成29年度は、平成28年度に続きインプラント周囲炎モデルの作製と遺伝子発現解析を行った。雄性SD系ラットに対しインプラント(純チタン:直径1.5mm、長さ4mm)を埋入し、埋入から4週間後に顎骨を摘出した。摘出した顎骨から凍結切片を作製し平成29年度に解析することができなかった結合組織をレーザーマイクロダイセクション(LMD)を用いてダイセクションし、GeneChip(Rat genome 430 2.0 array)にてHybridization後に、アレイ統計解析ソフトGeneSprings GXを用いて、網羅的な遺伝子発現解析を行った。その結果、口腔粘膜下結合組織、天然歯結合組織、インプラント周囲結合組織で発現する遺伝子発現プロフィールを作成することができた。作成した遺伝子発現プロフィールからターゲットとなる候補遺伝子を選定し、定量的RT-PCRを行ったところ、Mx1,Lbp,Scl47a1,G0s2,Cmpk2の5遺伝子がインプラント周囲結合組織において特異的に発現していることが明らかとなった。
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