研究課題/領域番号 |
16K20545
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
津徳 亮成 日本大学, 歯学部, 専修医 (40772736)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 骨粗鬆症 / PTH / 骨再生 / 歯科インプラント |
研究実績の概要 |
本研究では、骨粗鬆症治療薬として近年普及しつつある骨形成促進薬であるPTHを骨粗鬆症モデルラット(OVXラット)に使用し、骨再生、骨増生への効果を検証すること。さらに、OVXラットにインプラントを埋入したのち、周囲骨への効果および早期にオッセオインテグレーションを確立するために有効かどうかを検証することであった。 そこで初年度は、実験モデルとして、卵巣を摘出したOVXラットを用いて、顎骨と発生由来が同様のラット頭頂骨を利用することにより、ラット頭頂骨に作成した骨欠損に対する骨再生の検証、頭頂骨に作成した溝に嵌合させたキャップ内に作った空間に対する骨増生の検証を行った。 その結果、OVXラット骨増生モデルにおいて,骨外側方向への骨増生が健常ラットと比較して抑制されることが示され,骨粗鬆症が骨増生を抑制することが実証された。さらに、OVXラット骨増生モデルに対して、PTHの間歇投与を行うことにより、骨増生が健常ラットと比較し、有意に骨増生を促進することが実証された。また、それぞれを組織学的に検証すると、OVXモデルラットは健常ラットと比較し、骨再生が抑制され、骨芽細胞、破骨細胞、コラーゲン合成が抑制され、骨のリモデリングが抑制されることが実証された。さらに、OVXモデルラットにPTHを投与することで、骨再生の促進、骨芽細胞、コラーゲン合成が促進されることが組織学的に認められた。しかし、破骨細胞への影響はほとんど認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『研究実施計画』に記載されている内容通りに、研究デザインおよびサンプル回収からデータ解析まで十分に進行している。また、その研究実績を国外の学術会議で随時学会発表し、他の研究者と討論および評価を受けているためおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ラット頭頂骨での骨再生、骨増生への影響をどのような機序で発生するか、in vitro にて検証を進める。さらに、OVXラット第二臼歯抜去後、ラット用インプラントを埋入し、その周囲骨及びインプラント体のオッセオインテグレーションの検証を行う。また、PTHを投与することで、インプラント体へのオッセオインテグレーションが増加するかどうかを検証する。検証方法は、形態学的、組織学的および免疫学的に検証を行う。 結果は、OVXラットにおいてPTHの投与は全身の骨質改善および骨量増加を促進しつつ、骨再生を三次元的に獲得でき、さらにインプラント周囲骨を改善しつつ十分なオッセオインテグレーシ ョンを獲得することが予想される。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラットの頭蓋骨の病理組織標本作製を外部委託したため、端数が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度への繰越金は平成29年度の助成金と合わせて使用する予定である。使用計画としては、実験用動物ラット、OVXモデルラットを物品費として購入する。随時、日本歯周病学会や日本口腔インプラント学会等を初めとした国内の学会にて発表する予定のため、その費用を旅費として当てる方針である。また、インプラントモデルに対する形態学的、組織学的および免疫学的な検証に用いる病理組織標本作製には外部委託をする予定である。
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