研究代表者は新たな細胞ソースとしてヒト臍帯動・ 静脈周囲に存在する間葉系幹細胞Human Umbilical Cord PeriVascular cells(以下HUCPVCs)に注目している。HUCPVCsは医療廃棄物となった臍帯より採取するためドナーに新たな侵襲を加えることなく十分な細胞を確保できるメリットがある。これまで研究でHUCPVCsをヒト骨髄幹細胞の培養上清(以下BM-CM)で培養することで骨形成が増加した。本研究では臨床応用を見据えて無血清培地を用いて、新たな幹細胞ソースの生体移植細胞としての有用性について探り、新規の骨再生療法を開発することを目的とした。 研究期間全体を通して、ヒト臍帯組織間葉系幹細胞をより効果的に骨系へと分化させるために、最適なBM-CM採取期間について検討した。BM-CMを増殖期、コンフルエント期、石灰化期の3つの期間にわけてヒト臍帯組織間葉系幹細胞に添加した。タイムポイントは1・2・3週としてALP染色、Alizarin Red染色、遺伝子発現(Runx2、Osteocalcin、Ⅰ型コラーゲン)Ca量の測定を評価方法とした。 BM-CMの3つの期間の検討では、コンフルエント期は他の時期よりもALP染色、Alizarin Red染色での陽性反応が明らかであり、遺伝子発現にてRunx2やOsteocalcinもより強く発現していた。 また、平成30年度の研究では、この3つの期間のBM-CMの成分をElizaによりVEGF、TGF-B1、FGF、IGF-Ⅰ、BMP-2について分析を行った。 コンフルエント期のBM-CMを用いることにより、ヒト臍帯組織間葉系幹細胞をより効果的に石灰化誘導されることが示唆された。また、International Association for Dental Reseachのロンドン大会にて学会発表を行った。
|