研究実績の概要 |
歯科補綴治療において、患者の歯槽骨の吸収の程度およびその骨質の状態は、治療計画の立案において深く考慮すべき因子であり、治療結果にも大きく影響してくる。しかし、抜歯後の歯槽骨の吸収のメカニ ズムは十分に解明されてはいない。我々は、collagen type-XII は、自己周囲の構造体を認識し発現を制御し、損傷を 受けた組織の修復、安定化を担う性質があると考えて いる。また、くびれを付与したインプラント体は歯槽骨吸収を長期に渡って抑制することが知られているためcollagen type-XII は周囲組織の形態や性質に応じた骨形成を制御する機能を有する可能性も示唆される。このことを踏まえ、本研究ではさらに再生療法による新生骨周囲の歯肉のcollagen type-XII の発現を解析することにより、再生された歯槽骨に対する周囲軟組織の認識機構を明らかにしたいと考える。 NPインプラント群ではtype-I,XIIコラーゲンいずれも有意な発現の変化を認めなかったが,PSインプラント群では,type-XIIコラーゲンの有意な発現の増加を認めた.また,細胞接着関連物質 integrin a1,b1, connexin43の発現は,sham群,NP群と比べてPS群で有意に発現が増加していた.以上の結果から,NPインプラント群と比べてPSインプラント群周囲の軟組織ではtype XIIコラーゲンの有意な発現の増加しており,また細胞接着関連因子の発現の増加も認めたことからPSインプラント周囲軟組織は強固で安定した組織形態になっており,その際type XIIコラーゲンが重要な機能を有することが示唆された.
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