がんの転移に先立ち,転移先臓器においてがん細胞が転移しやすい環境,前転移ニッチが形成されることが報告されている.一方,腫瘍血管を裏打ちする腫瘍血管内皮細胞は,血管から剥がれ落ちて血液中に循環することが知られている.本研究では循環腫瘍血管内皮細胞が転移に関与する可能性を検討した.マウスに腫瘍血管内皮細胞を尾静脈注射すると,正常血管内皮細胞よりも肺組織に多く接着した.GFP皮膚移植マウスモデルを作成し,移植皮膚下に腫瘍移植後,血液中のGFP陽性細胞を検出した.今後,サイトカインを多く分泌する循環腫瘍血管内皮細胞による転移促進機序をさらに検討する予定である.
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