研究課題/領域番号 |
16K20555
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
北條 敬之 北海道大学, 大学病院, 助教 (60756691)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 血管新生 / 活性酸素種 / VEGF |
研究実績の概要 |
前年度に、in vivo, in vitroにおける活性酸素種の定量化をすることが可能になったことから、今年度は活性酸素誘導剤 (Pyocyanin) を用いたin vitroでの解析を行った。以下に結果と今後の展望を示す。 ① 活性酸素種による血管内皮細胞の遺伝子発現変動解析:血管内皮細胞にPyocyaninを用いて活性酸素種を誘導し、活性酸素種がVEGFなどの血管新生に関わる遺伝子や腫瘍血管内皮細胞マーカーとして報告されている遺伝子の発現に及ぼす影響を定量的Real Time-PCR法により解析した。結果としては、活性酸素種によりVEGFを含む多くの血管新生関連遺伝子や腫瘍血管内皮細胞マーカーが発現亢進していた。これにより、前年度判明した活性酸素種による遊走能亢進は、血管新生関連遺伝子の発現亢進により引き起こされていることが示唆された。今後は、遺伝子発現亢進によりどのような細胞内シグナル伝達を経て遊走能亢進につながっていっているのかを解析予定である。また、血管内皮細胞における活性酸素種による血管新生関連遺伝子の発現亢進はどのような機序で引き起こされるものなのかも検討予定である。 ② 抗酸化剤を用いた腫瘍血管内皮細胞の活性酸素種制御の検討:既存の抗酸化剤(DPI)や緑茶カテキン(EGCG)などの抗酸化物質を用いて、腫瘍血管内皮細胞の活性酸素種が除去されうるかをDHE試薬を用いてプレートリーダーおよびフローサイトメトリーにより解析する予定である。次いで、抗酸化剤が上記で解析した血管新生関連遺伝子、腫瘍血管内皮マーカーならびに細胞内シグナル経路へ及ぼす影響などを検討することにより、腫瘍血管新生への関わりを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では活性酸素種を介した細胞内シグナル伝達の解析も今年度に行う予定であったが、活性酸素誘導剤であるPyocyaninの使用量の検討に時間を要し、活性酸素種による血管内皮細胞の遺伝子発現変動解析までしか検討できていない。
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今後の研究の推進方策 |
歯学研究科口腔病理学講座のスタッフと密に連携し、実験や研究経過の検討を行い、引き続き活性酸素が腫瘍血管内皮細胞の血管新生能に及ぼす影響について検討する。今後は、シグナル伝達の解析、また抗酸化剤なども用いた活性酸素種の抑制の検討やin vivoでの腫瘍血管新生の抑制効果の検討を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)in vitroでの解析のための活性酸素誘導剤の使用量の検討に時間を要したため (使用計画) in vitro, in vivoでの解析を進めるための試薬やマウスの購入費用として使用する。
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