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2017 年度 実施状況報告書

低酸素環境から解析する唇裂の発症機序

研究課題

研究課題/領域番号 16K20561
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

長岡 亮介  東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (30760805)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード口唇裂 / 唇顎口蓋裂 / 低酸素 / 先天異常
研究実績の概要

以前の研究より、in vitroのマウス胎仔全胚培養法による低酸素状態が複数の遺伝子発現を抑制し、顔面形成へ影響を与え、顔面突起の癒合不全(唇裂)を生じることは既に明らかにしていた。一方、in vivoでの低酸素環境下での妊娠マウス母獣の飼育法は既報より確立を見ており、マウス胎仔の心筋の菲薄化等の変化が確認されていた。しかしながら、マウス胎仔の顔面形成への影響の分析に関しては報告がない。
in vivo低酸素環境で母獣ごとマウス胎仔を曝露させることにより生理的な状態での低酸素の影響が解析でき、示唆に富む結果が得られるものと考えられたため、専用のチャンバーを利用し酸素濃度9%の低酸素状態(通常約21%)で妊娠マウス母獣(胎齢10.5日)を24時間飼育した。
結果、肉眼的な形態異常はin vitroでのマウス胎仔全胚培養と同様の結果を生じ、かつ、免疫組織化学染色では血管新生の亢進、細胞増殖の減少、細胞死の増加が確認された。
これらはいずれも我々のin vitroでの研究や、既報での低酸素状態への反応として矛盾しないものである。
唇裂は体表に現れる先天異常としては最も高頻度の疾患のひとつでありながらも原因となる要素が多岐にわたり、いまだ明快な原因究明はなされていない状態である。今回の実験結果はまだ予備実験の範囲を逸脱していないが、既存の実験系から新しい実験モデルを構築でき、かつ、先天異常の解析を行えることは非常に意義深いと思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初、共有施設での実験器具(低酸素環境でのマウス飼育器具)の使用が可能となる見込みだったため、管理者側の試験運用期間が終了するのを待ち、使用許可をとる予定であった。しかしながら、試験期間が予定よりも大きく延長されたため、やむなく同等の実験機材を借用をすることで実験を行った。借用期間に限りがあるため、前述の「研究実績の概要」にある実験結果を得るまでには至ったのだが、試行回数の増加による再現性の確認や複数の分析方法を行うには限界があり、結果として当初の予定より実験計画は遅れる結果となった。

今後の研究の推進方策

低酸素環境でのマウス飼育器具を正式に購入して研究を継続する。従来の分析方法(免疫組織化学染色、in situ hybridization、RT-PCR)に加えて、形質変化に対するエピジェネティクスの観点からの分析法も検討・追加し、より詳細な分子生物学的な解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

前述の研究計画の進捗状況の通り、本計画上、もっとも高額な低酸素環境でのマウス飼育機材を購入せずに共用設備で代替可能か検討していたのだが、結果的にかなりの時間が経過してから共用設備の使用が難しいことが判明した。今回の研究期間中は機材を購入できなかったため、次年度使用額が発生した次第である。
実験機材を購入できなかったが、一時的に借用することで実験の方向性に間違いがないことは確認できた。次年度に持ち越した助成金で機材を購入し、より子細な解析を行う予定である。

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公開日: 2018-12-17  

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