研究課題/領域番号 |
16K20562
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
齋藤 太郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (40758364)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 薬剤関連性顎骨壊死 / 骨再生 |
研究実績の概要 |
虚血性心疾患や脳梗塞等の治療に効果的とされる骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSC)による移植治療は、ビスホスホネート系薬剤(BP)服用患者の抜歯後に発症する顎骨壊死(BRONJ)に対しても有効とする動物実験報告がある。本研究の目的はBMMSC移植治療の臨床応用実現に向け、BRONJに対するBMMSC局所投与の治療効果検証である。検証のためにBP投薬中のラットBMMSCを、足場材に播種した“細胞加工製品”を作成し、BRONJ症状を呈するラットの抜歯窩へ移植し、創傷治癒と骨再生能力を組織学的に分析し、BMMSC局所投与自体の治療効果判定を行う。また、投薬中のBPの影響を減弱させる細胞機能強化法としてヒストンジアセチラーゼ阻害剤と低酸素プレコンディショニングを併用した“骨再生プライミング”処理した細胞加工製品の有用性も分析し、BRONJの機能的治療法開発につなげる。 平成29年度の目標は下記の2つであった。 1.過去の報告に準じて薬剤投与し、BP関連顎骨壊死様状態とさせ、ラット抜歯窩治癒不全モデルを確立すること。 2.BRONJモデルラットからBMMSCを採取しex vivo細胞培養を経て、3種類の足場材に播種し、移植用“細胞加工製品”を作成。BMMSCの間葉系幹細胞マーカー発現や細胞加工製品のin vitro特性分析を行うこと。 しかし、抜歯窩治癒不全モデルの確立に至らなかったため、現在もモデル確立のために実験継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、平成29年度の目標は、ラットにビスホスホネート(BP)であるゾレドロン酸とステロイドであるデキサメタゾンを皮下注射した後に、抜歯を行いBP関連顎骨壊死様状態とさせ、ラット抜歯窩治癒不全モデルを確立すること、モデルラットから骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSC)を採取しex vivo細胞培養を経て、3種類の足場材に播種し、移植用“細胞加工製品”を作成。BMMSCの間葉系幹細胞マーカー発現や細胞加工製品のin vitro特性分析を行うこと、実際に細胞加工製品の移植を行うことであったが抜歯窩治癒不全モデルの確立に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究を継続しモデルを確立する。 3種類の足場材を用いて細胞加工製品を作成し、それぞれの特性分析を行ったのちに、抜歯窩へ移植、効果判定を行う。 BRONJ症状の抜歯窩が治癒しない場合には、抜歯窩へ細胞加工製品移植の際に、壊死組織・骨の掻爬を拡大して行い、病変組織の可及的な除去操作を加えてから移植し対応する。それでも治癒が見られない場合は、足場に播種する細胞密度を8x106/cm3より倍加あるいは半減させた細胞加工製品で再検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定していた試料が年度内に調達できなかったため。次年度に購入予定。
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