本研究は、BRONJの機能的治療法開発につなげるために、BMMSC移植治療の臨床応用実現に向け、BRONJに対するBMMSC局所投与の治療効果検証のために、BP投薬中のラットBMMSCを、足場材に播種した“細胞加工製品”を作成し、BRONJ症状を呈するラットの抜歯窩へ移植し、創傷治癒と骨再生能力を組織学的に分析し、BMMSC局所投与自体の治療効果判定を行うことと、投薬中のBPの影響を減弱させる細胞機能強化法としてヒストンジアセチラーゼ阻害剤と低酸素プレコンディショニングを併用した“骨再生プライミング”処理した細胞加工製品の有用性も分析する予定であったが、過去2年間に渡り抜歯窩治癒不全モデルの確立に至らなかった。従って、目標としていたBRONJモデルラットからBMMSCを採取しex vivo細胞培養を経て、3種類の足場材に播種し、移植用“細胞加工製品”を作成。BMMSCの間葉系幹細胞マーカー発現や細胞加工製品のin vitro特性分析を行うという目的に至っていない。また、購入予定していた3種類の足場のうち、三つ目の足場材が諸般の事情により、調達できないことが年度途中で判明したため、予定していた3つの足場材のうち2つのみを用いて、BRONJではない、健常な動物から採取した細胞播種というインビトロの実験だけで遂行しようと努力した。すでに今年度は動物実験モデルの作成が効率よく出来ないことを考慮して動物を使用しない体制としたために、新鮮なラット間葉系幹細胞を得ることができず、凍結しているラットの間葉系幹細胞の培養を開始したが、インキュベーターの不具合やコンタミネーションにあってしまって、培養そのものがうまくいかず、細胞が増殖せず、足場に播種する細胞を獲得することができなかったので、残念ながら足場への播種も不成功に終わってしまった。
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