口腔癌は早期発見・治療が重要な疾患の一つである。蛍光プローブにより口腔癌組織と正常組織を区別するために研究を行った。信州大学医学部附属病院で根治的切除を行った切除標本に対しgGlu-HMRGをスプレーし継時的に蛍光発現を観察した。蛍光検出の結果を同標本の病理組織像と比較検討した。スプレーから1-3分で腫瘍組織に蛍光が発現し、腫瘍の浸潤範囲の把握が可能となった。スプレー後25分後の結果で比較すると、腫瘍組織に蛍光が発現し、さらに明確に腫瘍の浸潤範囲の把握が可能となった。 また、細胞を用いた研究では抗がん剤を添加した培地で培養した細胞を添加なしの培地で培養された細胞と比較した。抗がん剤を添加した培地で培養された細胞ではGGTをコードするmRNAの発現が増加していた。癌細胞の栄養取り込みの過程でGGTは種々の治療に対して抵抗的に働いている可能性が示唆された。 gGlu-HMRGは深部断端を非侵襲的かつ短時間で正確に取得可能である画像診断の一つであると示唆された。
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