研究課題/領域番号 |
16K20570
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
浅井 啓太 京都大学, 医学研究科, 助教 (10646376)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 顎骨壊死 / 骨髄炎 / 口腔外科 |
研究実績の概要 |
臨床的には、骨吸収抑制薬関連顎骨骨髄炎(BROMJ)の発症に根尖性歯周炎や歯周病などの口腔における吸収性骨疾患が関連している可能性が示唆されている。しかし、それらの吸収性骨疾患と骨吸収抑制薬関連顎骨壊死との関連は明らかになっていない。一昨年までに以下の方法にて根尖性歯周炎ラットモデルを用いて根尖性歯周炎とBROMJ発症との関係を検討した。 【方法】7週齢のラットを作製し,関連について検討したビスフォスフォネート(BP)投与群にはZoledronateを8週間投与し,対照群に生理食塩水を投与した.歯髄腔内にPorphyromonas gingivalisを投与することによって実験的ラット根尖性歯周炎を惹起させた。その後3,6週間目に標本を採取し、99mTC-MDPによるSPECT、μCT及び組織学的評価を行った。抜髄により対照群では根周囲に透過像が確認された。しかし、BP投与では透過像の範囲が3、6週目とも有意に小さかった。組織学的評価において、BP投与群では明らかな骨吸収を認めず、根尖周囲骨にempty lacunaeや炎症性細胞の浸潤を認めた。酒石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ染色陽性細胞は、3週目で対照群と比較し有意に少なかった。SPECTでは6週目において有意に高い集積を認めた。壊死骨の発症、炎症性細胞の存在、99mTC-MDPといった骨髄炎様の状態であった事から、BP投与中の根尖性歯周炎がBROMJ発症の原因となる可能性が考えられた。 昨年度は、遺伝情報を用いた研究に関する倫理審査を行うと同時にBRONJ患者の臨床研究を開始した。患者の背景情報(性別、年齢、BP使用薬剤、期間、既往歴、その他のリスクファクター)の調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床データの収集及び動物実験については既に倫理委員会の承認を得て解析が進んでいる。しかし、遺伝子研究に関連した計画を京都大学大学院医学研究科および京都大学附属病院の倫理委員会の承認を申請中であり、承認が得られていない。 承認が得られれば、対象となる患者に同意を得たうえで血液を採取し、白血球からDNAを抽出準備を進める。
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今後の研究の推進方策 |
倫理委員会の承認に時間を要しているため、採血などサンプルの保存が進んでいない。できるだけ早く承認を得るとともに、現状あるデータで研究を進めていく。 倫理員会承認後は、まずサンプルを採取し、保存する作業を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝情報を用いた研究であるため、疾患のコントロール群の遺伝子として、疾病を発症していない者のゲノム情報が必要となり、十分な症例数のゲノム情報収集および同意取得に時間が掛った。また、病棟に入院中患者の唾液より口腔内細菌を採取する必要が生じた。以上より複数回に渡って倫理委員会を通す必要があり、平成30年の倫理委員会改定にも対処する必要もあり当初より時間を要した。
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