研究課題
頭蓋骨は正常な膜性骨化と頭蓋縫合の維持により形成され、その発生異常は頭蓋・顎顔面における形態異常や審美障害、咬合異常、脳神経系の発達遅延など様々な臨床的問題に通じると考えられる。頭蓋骨の発生を制御する分子ネットワークは複雑であるため詳細な分子機序は十分に解明されていない。KAKEN若手B研究費の支援の下、申請者はIhh/Pth1rという2つの分子に着目して研究を実施した。本研究では、in vivo におけるmouse geneticsを駆使し、頭蓋未分化間葉系細胞特異的なconditional knockout マウス、Prx1-Cre;Ihhfl/fl およびPrx1-Cre;Pth1rfl/flを作成しその頭蓋骨の表現型を解析することを計画した。平成28年度では主に解析マウスの準備を行った。本年度は表現型の解析に努めることができた。解析はおもにアリザリンレッド・アルシアンブルーを用いた骨格標本の作製、マイクロCT撮影による形態学的評価とホルマリン固定パラフィン切片作製による組織学的評価で実施した。両マウスではFosteringにより生後以降の観察も可能であったことが新規的な表現型の観察に繋がっている。Prx1Cre;Ihhfl/flの新生仔の頭蓋骨では頭蓋縫合の閉鎖遅延が観察された。1週齢(Alcian Blue/ Alizarin Red染色)もしくは3週齢(MicroCT)の観察では表現型は回復し、明確な形成異常は見出されなかった。一方、Prx1Cre;Pth1rfl/flの頭蓋骨を新生仔、1週齢、3週齢で評価を行った結果、頭蓋骨で著明な表現型が見出された。今後さらに詳細に検討していきたいと考えている。
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Kidney Int.
巻: 92【3】 ページ: 599-611
doi: 10.1016/j.kint.2017.02.014.