研究課題/領域番号 |
16K20581
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マウスPD-1抗体 / 5-FU / シスプラチン / Cetuximab / 併用療法 |
研究実績の概要 |
マウス扁平上皮癌由来細胞株SCCⅦをBalb/cヌードマウスおよびC3H/Heに皮下接種し、固形腫瘍を生着させた7日後に以下の治療を8週間行った。①: マウス抗PD-1抗体 20mg/kgを第1週目に、10mg/kgを第2週目以降に腹腔内投与を週1回継続、② :5-FU 20mg/kgを週2回腹腔内投与、③: シスプラチン 5mg/kgを週1回腹腔内投与、④: Cetuximab 20mg/kgを週2回腹腔内投与、⑤: ①+②の併用療法、⑥: ①+③の併用療法、⑦: ①+④の併用療法。 未処理対照マウス腫瘍と比較して、屠殺前の8週間の治療終了時において残存腫瘍の体積はそれぞれ、①では約55%縮小、②では約30%縮小、③では約30%縮小、④では約60%縮小、⑤では約65%縮小、⑥では約70%縮小、⑦では約90%縮小を示した。すなわち、Cetuximabは、5-FUやシスプラチンよりもマウス抗PD-1抗体との併用効果が大きかった。残存腫瘍を摘出し、ホルマリン固定後パラフィンブロックを作製し、薄切切片を用いてTUNEL法を行ったところ、Cetuximab+マウス抗PD-1抗体併用療法において、TUNEL陽性細胞の増加が有意に顕著であった。すなわち抗腫瘍効果の増強はアポトーシスの誘導によるものと考えられた。また残存腫瘍部のIFN-γ産生T細胞を検索したところ、マウス抗PD-1抗体投与により腫瘍局所へのIFN-γ産生T細胞の集積が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
5-FU、Cisplatin、Docetaxelに対する耐性株SCCⅦ/FU、SCCⅦ/CDDP、SCCⅦ/DOCを作製中であるが、耐性化に予想以上に時間がかかり、耐性株を利用してin vivoの検討を予定していたが、この点がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
5-FU、Cisplatin、Docetaxelに対する耐性株SCCⅦ/FU、SCCⅦ/CDDP、SCCⅦ/DOCの作製に加えて、Cetuximab対する耐性株SCCⅦ/CETの作製を開始し、現時点で8 μg/mlのCetuximab対しても、継代可能なレベルまで耐性を獲得できている。これらの耐性株を用いて、マウス抗PD-1抗体併用療法を検討し、抗腫瘍効果を確認する予定である。なお遺伝子変異の蓄積は抗PD-1抗体療法のバイオマーカーと考えられているため、耐性株においてマウス抗PD-1抗体併用療法は強い抗腫瘍効果を発現できる可能性があるため、各種抗癌剤耐性株の担癌マウスに対するマウス抗PD-1抗体併用療法の効果発現のメカニズムの検討ならびに、新規バイオマーカーの検討を予定している。
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