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2016 年度 実施状況報告書

粘膜類天疱瘡の唾液を用いた新規診断法の開発と抗原特異的発症メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K20585
研究機関九州大学

研究代表者

安河内 篤  九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (30724968)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード粘膜類天疱瘡
研究実績の概要

粘膜類天疱瘡(MMP)は自己免疫性水疱症の一つであり、口腔粘膜をはじめとする粘膜組織に優位に発症する。同疾患では、他の類天疱瘡と同じく表皮真皮間結合部(ヘミデスモソーム)に自己抗体が沈着し、同部の結合が障害され水疱を生じる。しかしながら、明確な標的抗原は明らかでなく、また粘膜に好発するメカニズムも不明のままである。これまでMMPとの関連性が指摘されているヘミデスモソーム構成タンパクの一つであるBP180タンパクのC末端部領域に着目し、同抗原と本疾患との関連性を明らかにしてきた。
本研究ではBP180C末端部 ELISAを用いて各患者血清のIgA自己抗体発現の有無を検討した。その結果、MMP患者血清中にBP180C末端部に対するIgA自己抗体を検出し、その検出率は他の自己免疫性水疱症よりも高い傾向であった。これらのことからMMPの診断においてはIgG自己抗体だけでなくIgA自己抗体を検索する必要性があること、またMMPの病態にIgAが関与する可能性が示唆された。
一方で、MMPの病態解明のために、口腔扁平上皮癌細胞株を用いてin vitroにおけるヘミデスモソームの構築を試みた。まず当研究室で保有している同一患者由来の舌扁平上皮癌細胞株であるSQUU-A、SQUU-Bを用い、BP180の発現量についてリアルタイムPCR法およびウェスタンブロット法を用いて検討した。その結果、低転移型であるSQUU-AにはBP180発現を認めたが、高転移型であるSQUU-BにはBP180の発現をほとんど認めなかった。そこでin vitroの実験系で浸潤能について検討したところ、SQUU-Bの浸潤能はSQUU-Aより明らかに高かった。これらの結果からBP180が癌細胞の転移・浸潤能に深く関わっていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究課題遂行にあたってin vitroにおけるヘミデスモソーム構築を試みるため複数の口腔癌細胞株を用いたところ、口腔癌細胞株の種類によってBP180の発現量が異なっていることが明らかとなった。新たな実験を追加し、BP180と癌の転移・浸潤能への関与を追究したため、当初の研究計画については若干遅れている。

今後の研究の推進方策

本研究課題遂行にあたってin vitroにおけるヘミデスモソーム構築を試みるため複数の口腔癌細胞株を用いたところ、口腔癌細胞株の種類によってBP180の発現量が異なっていることが明らかとなった。新たな実験を追加し、BP180と癌の転移・浸潤能への関与を追究したため、当初の研究計画については若干遅れている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Clinical and Immunological Studies of 332 Japanese Patients Tentatively Diagnosed as Anti-BP180-type Mucous Membrane Pemphigoid: A Novel BP180 C-terminal Domain Enzyme-linked Immunosorbent Assay.2016

    • 著者名/発表者名
      Yasukochi A, Teye K, Ishii N, Hahimoto T
    • 雑誌名

      Acta Derm.-Venereol.

      巻: 96 ページ: 762-7

    • DOI

      10.2340/00015555-2407.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Granular C3 Dermatosis2016

    • 著者名/発表者名
      Hashimoto T, Tsuruta D, Yasukochi A, Imanishi H, Sekine H, Fujita T, Wanibuchi H, Gi M, Karpati S, Sitaru C, Zone JJ, Endo D, Abe S, Nishino T, Koji T, Ishii N
    • 雑誌名

      Acta Derm.-Venereol.

      巻: 96 ページ: 748-53

    • DOI

      10.2340/00015555-2379.

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] The significance of BP180 expression in oral squamous carcinoma cell invasion2017

    • 著者名/発表者名
      Yasukochi A, Morioka M, Kawakubo-Yasukochi T, Nakashima M, Nakamura S
    • 学会等名
      The 5th Congress of ASHNO
    • 発表場所
      Bali, Indonesia
    • 年月日
      2017-03-23 – 2017-03-25
    • 国際学会
  • [学会発表] Link of BP180 bullous pemphigoid autoantigen to invasion of oral squamous carcinoma cell2016

    • 著者名/発表者名
      Yasukochi A, Morioka M, Kawakubo-Yasukochi T, Obayashi K, Nakashima M, Nakamura S
    • 学会等名
      ANZHNCS Annual Scientific Meeting and the IFHNOS 2016 World Tour
    • 発表場所
      Auckland, New Zealand
    • 年月日
      2016-10-25 – 2016-10-27
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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