研究実績の概要 |
初年度は、唾液腺萎縮モデルの作出、末梢血EPC細胞単離抽出条件の設定、QQ-EPCs由来エクソソームの抽出をおこなった。組織障害モデルの作出については、C57BL/6 マウスの顎下腺領域まで含んだ頭頸部のみに放射線照射を与えることのできる機器を用いて、12Gy (gamma-ray) の線量を照射することで、照射後4 週で、通常量の約30%まで唾液分泌量の低下を導く障害を唾液腺に与えることができた。濃縮末梢血EPC細胞群の抽出については、血液凝固処理をした注射筒を用いてマウス心臓より採血を行い、次いで数回の遠心操作を行い、単核球成分を多く含むBuffy coatを採取する。Buffy coatには少量の赤血球も含まれるため塩化アンモニウムを加え溶血させる。その後、単核球成分をEPCs に誘導するサイトカイン添加培地によるQQ培養を5日間行った。EPCsは主に自己増殖の働きを持つsmall EPCs と自ら血管を形成するlarge EPCsの2種類に分けられ、QQ処理後のEPCs群は有意にlarge EPCsの割合が多く、colony数自体も多いことをこれまでの研究で確認している。また、今回、QQ処理後の細胞群には極めて多くの抗炎症効果の働きを持つマクロファージが含まれていることが確認できた。QQ-EPCs由来エクソソームの抽出については、培養されたQQ-EPCsから超遠心法(100,000g以上で70分間,4℃) でエクソソームを回収した。回収したエクソソームは凍結乾燥し、保存可能であることを確認した。
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