研究課題
昨年度に引き続き、Double Layered Collagen Gel Hemisphere 培養法(DL-CGH法)を用いた3次元培養実験系を応用し研究を行った。エナメル上皮腫は複数の組織型に分類される歯原性腫瘍であり、いずれの組織型も腫瘍細胞の集団的細胞浸潤が特徴的であるが、その浸潤形態の違いを生む細胞生物学的な要因は不明である。我々は異なる組織型のエナメル上皮腫細胞株AM-1(叢状型)とAM-3(濾胞型)を有しており、 これらの細胞の集団的浸潤形態を比較評価するため、腫瘍細胞単独でのDL-CGH法を行った。昨年度得られた結果を複数回の実験にて再確認し、異なる腫瘍型由来のエナメル上皮腫細胞株であるAM-1とAM-3では異なる細胞浸潤形態を示すことを確認した。また、間質線維芽細胞と共培養することで、エナメル上皮腫細胞の腫瘍細胞集団の浸潤形態は著明に変化することを確かめた。特にAM-3では、AM-3単独では細胞間接着を保ったまま平滑な浸潤辺縁を維持し浸潤したのに対し、線維芽細胞存在下では複数の腫瘍細胞が細胞間接着を維持したまま浸潤突起を顕著に形成し 、積極的に周囲に浸潤する様子が伺えた。さらに別の培養方法として、腫瘍細胞と線維芽細胞を混合してDL-CGH法による培養を行った所、AM-1、AM-3共に、細胞集団の中心部ではそれぞれ叢状型、濾胞型に近い顕微鏡像が得られた。以上の成果を英論文雑誌に投稿し採択された。また、前述の集団的細胞浸潤の形態変化に影響する因子の候補を挙げた上で、蛋白や抗体の存在下での3次元培養を行い、より細胞集団浸潤形態に影響する因子の同定を進めている。
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FEBS Open Bio
巻: 7 ページ: 2000-2007
10.1002/2211-5463.12313