ヒト舌癌細胞株OSC-19-Luc同所移植ヌードマウスモデルを用いて、マウス舌にヒト由来の舌癌細胞株を移植し、舌部分切除後に誘導されるCD11b+細胞の役割に関して実験を施行した。移植したマウスはIVIS systemによるライブイメージングシステムにより、舌の腫瘍の増殖及び頸部リンパ節転移の有無をマウスを生かしたまま経時的に評価し、そして経時的に舌及び頸部リンパ節組織を採取している。その後検体をスライスし、抗原タンパクCD11bやLYVE-1(リンパ管内皮細胞のマーカー)でそれぞれ経時的採取した検体を薄切・染色することにより、外科的介入後のどのタイミングでCD11b+細胞の流入があるか、リンパ管内皮細胞のチューブォーメンションにつき引き続き解析している。 染色条件の検討や限られた検体数の中での実験であり、染色工程においてやや実験進行は遅延はあったが、検体採取は進行できている。 現在判明していることは、BALB/c nu/nuマウスの舌へのヒト由来舌癌細胞株の移植後において、腫瘍細胞の頸部リンパ節への転移を認めていない時点ですでにマウス頸部リンパ節は腫大を認め、また全身における他部位のリンパ節腫大は認めないことから、腫瘍からのサイトカインが局所リンパ節へ流入することにより起きている可能性が示唆された。原発腫瘍から発生したサイトカインの局所リンパ節への流入により、局所リンパ節に転移ニッチが生じた可能性がある。 現在、同リンパ節への流入した細胞種を特定するため一部追加抗体の染色条件や解析方法の検討及び、他のマーカーの追加を検討している。
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