抗菌的光線力学療法(a-PDT)は旧来のレーザーによる光凝固・蒸散などの物理的破壊とは異なり、低エネルギーでの光照射により病変を選択的に治療することから、正常組織に対する障害は少ない治療法として注目されている。a-PDTは光と色素の併用による光化学反応を応用するもので、これには、a光感受性薬剤、b光、c酵素の三者が必要で、発生した活性酸素により細菌の細胞膜や細胞壁の損傷により殺菌効果、もしくはDNAの損傷により静菌効果を示すと考えられている。いくつかの研究においてa-PDT療法の有用性が報告されているが、色素濃度、照射時間などに関し、効果の高い確実な条件や手技および長期的な効果が定まっていない。 a-PDTの感光剤としてはこれまでに様々な光感受性薬剤で歯周病原菌に対する殺菌効果が報告されている。 そこで今回の研究では、a-PDTにおいて、効果的な光感受性物質の種類や至適濃度、光の照射条件を検討し、さらにその治癒メカニズムを解明することを目的とした。 口腔内細菌に対し、青色LED光源とリボフラビン(B2)またはローズベンガル(RB)を用いたa-PDTを試行し、殺菌効果を比較・検討したところ、光感受性物質としてB2を使用したa-PDTでは殺菌効果を示さなかった、一方でRBを使用したa-PDTでは殺菌効果を示した。
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